帯広の夜はまだまだ続くよ 牛トロ寿司 吟寿司再訪、そしてそれは起こった。

2004年6月26日 from 出張

 さすがの僕もとかちっこと鶴橋の豚丼(しかも鶴橋は超特大)を食べた後は、抜け殻である。身体の全ての機能は胃袋に集中し、意識朦朧であった。JA御用達のホテル「パコ帯広」(←こんな名前だが決してラブホではない)で腕立てをなんとか100回するが、どうも集中できない。シャワーを浴びて一睡し、夜の部に備えた。

 夜は一次会はJAの皆さんと、そして二次会からは明日の午前中に視察を行う気象情報ロボット「ウェザーバケット」を開発した、アグリウェザー社のご一行と一緒になる。さらに、嬉しいことに、この食い倒れ日記の読者である「十勝やっち」君が、ジョインしたいと申し出てくれ、二次会から合流することにしたのであった。十勝やっち君は、姉妹blog「俺と畑とインターネット」に数回コメントを残してくれている。

 さて、一次会はJAとあるスーパーのバイヤー様ご一行に混ぜて頂いて、居酒屋「たけとんぼ」で飲みである。

帯広極悪コンビである「岡坂&ノム」が復活。しかしこの日はノムさんの毒舌はあまり聴けず。
 帯広だけでなく、十勝の飲食店のレベルは高い。地元の人にとっては居酒屋の普通のつまみだというが、かなり旨いものが揃っている。

■北海シマエビの塩ゆで

「これがさ、安くてウマイのさぁ。気づいたらドンブリ一杯食べちまうよ。」

というのがこの北海シマエビだそうだ。確かに味が濃く、旨味タップリだ。

■時しらず鮭の刺身&ルイベ

本土ではあまりありつけない時しらず鮭も普通に出てくる。サシが入り旨い。でも岡坂さんは「そんなん旨いかぁ?だまされてっぞ」と言うんだが、、、

■アイヌネギ(行者ニンニク)酢みそ和え

行者ニンニクはアイヌネギという。山菜なのだが、こういった店で出てくるのは栽培種だろう。しかも「これは冷凍物だ。香りが抜けてる。」とのことであった。しかし俺にはこれでも十分旨かったりするのだが、、、

■ラーメンサラダ

このラーメンサラダ、ラーメンがゴマ風味のドレッシングというかタレに野菜と一緒にまぶされてくる。冷やしラーメンみたいなもんだが、旨い。十勝の居酒屋ではそうめんサラダなどこうした麺を使ったサラダがよく出てくるらしい。そして旨い!

■芋だんご

つぶしたジャガイモに小麦粉か片栗粉を混ぜて円くだんごにし、揚げたものだ。芋餅などという名前で他でも食べられるが、さすがは十勝のじゃがいも、旨い。中にチーズが仕込まれており、かつバターが載ってくる。

「ヤマケン、だんごを割ってさ、そのバターを中に入れて溶かすんだよ!」

とノムさんから激が飛ぶ。これがまた旨いのだ。

■目抜(メヌケ)刺身

このメヌケの刺身が最高にグンバツであった!歯触りがシコッシコッとしており鮮度は抜群。独特の溶けるような風味と粒状感のある身。これで500円程度とは、どうなっているんだろう。やっぱり移住するか?

■時しらずハラスの塩焼き

もう言うことはない。

一次会はこんな感じで料理が出てきたが、おればかりがバクバク食べていたような気がしないでもない。一期一会だからなぁ 食べ物は。

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さて
岡坂さん&ノムさんコンビと、バイヤー軍団ご一行と別れ、二次会へ。ウェザーバケット社長の横山さんが連れて行ってくださったのは「番々亭」だ。

ここではまたもや豚丼を食った!もうこの頃になると胃袋もリフレッシュされておりばっちりだ。

「ここの豚丼はねぇ、結構美味しいと思うんですよ、ヤマケン。」

横山社長が仰るとおり、実に滋味深い、柔らかい味の豚丼であった。甘めのタレがふっくらと厚めの柔らかい豚肉に絡んで非常にナイス。いや、帯広の居酒屋はどうなっているのだろうか。本当にはずれがないじゃないか。

この店では、ガーリックラーメンという、ニンニクチップがバカスカ入ったラーメンがまた旨かった。脱帽である。東京の居酒屋は帯広のサービスレベルを見習って欲しいと思う。

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 さて、ここからが本題だ。
番々亭を出た後、横山社長が「さあ、ヤマケン、行きますよぉ~」と言う。そう、帯広にきたらここに行かねばならない! 牛トロ寿司の吟寿司である。牛肉を寿司にするという趣旨はいろんなところでみかけるが、旨いと思うものは少ない。しかしここの吟寿司の牛トロ寿司は、間違いなく旨い!しかも牛トロ以外のネタも実に最高。中でも穴子とシャコは絶品中の絶品である。それは過去のエントリにも書いた通りだ。陸の国というイメージの強い帯広にあって、最高の寿司がリーズナブルに満喫できる、素晴らしい店なのだ。

十勝やっちも含め5人で入店。カウンターに座ることができた。店に入り、「どうも!」と声をかける。僕は気に入った店があると、2回目から厨房に声をかけることにしている。向こうが僕を覚えていようといまいと関係ない、僕から愛を投げかけたいからだ。今回もその通り。

しかし!

大将以下、店の人達の僕に対する目が優しい。なんだろう?まだこの店に来るの4回目くらいなんだけどな。

と、大将が口を開く。

「インターネット、観ましたよ!」

おおおおおおお
大将がカウンターの下から、僕の食い倒れ日記の、吟寿司の項をプリントアウトしたものを出してくれる。

「息子が見つけてね。プリントしてもらったんだよ。書いてくれてどうもありがとう!」

厨房の奥さんらしき女性も御礼を言ってくださる。嬉しいなぁ、、、こういう時が、「書いててよかった」と思う瞬間である。この日本という国、恥ずかしがり屋が多いためか、お店の人に「美味しかった!」と伝えることをする人が意外に少ない。思ったことを伝えるというシンプルな行為が、店をハッピーにさせ、もっと旨いものを食べさせたいという動機につながるはずなのだ。食い倒れ日記の読者は、積極的にお店の人に「美味しかった!」を伝えるようにして欲しい。もし美味しくなかった時は黙って立ち去ろう。

いやしかし吟寿司の大将が観てくれたのは嬉しい。大将も喜んでくれ、いつもの超光速握りテクニックが炸裂しまくりだった。

「1分間で12貫握ったことがあるからねぇ!」

と、いつもよりも饒舌に握りまくりである。

■穴子

この穴子が僕は大好きだ。北海道産の穴子ではないだろうが、焼きの技術とタレが絶品だ。僕の名前(山本謙治)と一字違いの大物演歌歌手がこれを18貫食べていったのもわかる気がする。

■シャコ

ふっふっふ、、、観てしまった。ネタケース内にある大ぶりの殻付きシャコをさばくのかと思いきや、冷蔵庫からシャコッと違うシャコを出してきた。ネタが違う瞬間。密かに心の中で微笑む時である。

この芸術的なシャコとタレのコンビネーション。実はどんな茹で海老よりも旨いと思うのは僕だけではあるまい。

「う、旨いっす、、、」

地元民十勝やっちも感動している。

さあそして牛トロだ。牛トロは、握りと巻きがある。どちらも風味が変わって旨いので、双方食べるのが吉である。ビニールシートに丁寧にラップしてある薄切り肉を切り分け、秘伝の味噌をシャリに塗り込み、そして牛肉を握り合わせる。

■牛トロ寿司&巻き

帯広に来てこれを食べなかったら後悔すること間違いなしだ。勝手ながら、食い倒ラー御用達の帯広三大名物の一つに数えさせて頂きたい。三大名物とは何かって?食い倒れ日記読者の皆様ならおわかりであろう、「豚丼・インデアンカレー・牛トロ寿司」である。


 そう言えば店の奥に、こんな画伯っぽい人との写真が飾ってある。眼鏡かけているのは大将だ。

「これは18歳頃だねぇ。その頃から店やってたんだよ。有名な美人画の○○○○センセイが来店してね。その時、ベレー帽かぶって寿司を食べてるから、俺が『センセイ、寿司食う時くらい帽子脱いだらどうなのよ』って言ったんだ。そうしたらセンセイ怒ったのか、なんなのか。絵を描いてくれたんだよね。若いヤツに説教されて、いまいましいのと快いのと、一緒になっちゃったんだろうな。」

そう言ってみせてくれたのが、この店のお土産寿司をつつむ紙などに使われるこの絵だ。なるほどすごく風情がある。そんなストーリーが、心地よい。

気持ちよく食べて、気持ちよく飲んだ。大将とガッツリ握手もした!

それと駆けつけてくれた十勝やっち、ありがとう!

横山社長様、ご馳走になりました!

本日はこれにてバタンキューだったのであった。明日もまた帯広なんである。