常夏の楽園・沖縄を食べ尽くす! 第4日目 悶絶の絶品グリーンカレーは食い倒ラー対応であった! カフェくるくま

2004年9月17日 from 常夏の楽園・沖縄を食べ尽くす

 「カナ」で味わったイラブーに満ち足りた気分で一路南下する。来る前は、

「イラブーの後にキングタコスかA&Wに入って何か食おうな」

などと言っていたのだが、とんでもない話である。精神的に満ち足りた僕はもうしばらく食わなくてよい。

「じゃー これからいくグリーンカレーの店ってどうすんの?」

「いや、それは行こうよ。せっかく卓がリコメンドしてくれたんだ。」

今回の旅程表(こちらを参照)に、一つだけ「ん?」と思うものがあったのだ。それが「くるくまのグリーンカレー」。卓によれば超絶品らしい。初日のコースに入れはしたのだが、「流れでやっぱ、沖縄チックな味を楽しんでもらおうと思ってさ」ということではずれたのである。

ならば、これから行くコースにこのくるくまは近いので、是非行こうよということになったのである。

そしてこれから行くところとはどこかというと、斎場御嶽(せーふぁうたき)という世界遺産に指定されている、沖縄の伝統的な祭場だ。

僕は、神社仏閣を観光する趣味はあまりない。のだが、今回は加賀谷が強く推すのだ。

「やまけん、ここは絶対にキテル。パワースポットだ。行こう。」

そこまでいうなら、たまには景色を楽しむのもいいな、と行くことにした。でも、景色を楽しむなんてものではなかったのだ。


■斎場御嶽(せーふぁうたき)
http://www.churashima.net/shima/okinawa/isan/20010301/05.html

 せーふぁうたきは、琉球時代に女性のシャーマンが修行を積んだ場らしい。本来は男性禁制とのことで、恐縮しながら登っていく。そう、山行なのである。最初の、舗装された観光路から石畳に入っていく斜面で、ズシンと重い足応えがある。いきなり負荷がかかり、息が荒くなる。軽いめまいを覚えながら登っていくとその感覚がだんだんと身体中に平均化され、山のモードに調整される。

 山自体は小さいもので、すぐにいくつかあるスポットに到着する。どういうところかというのはリンク先を見て頂ければわかるので詳説しない。他にも老若男女の観光客が来ており、写真をぱちぱちと撮っている。ちなみに僕はこうした霊的な場では写真は撮らない。ここはずいぶんと手の先にピリピリと来る場所なのだ。

「ここがすげーんだよ」

と加賀谷が言う、岩と岩がずれて半三角形に洞穴ができた三庫裏(さんぐーい)という場所の先にある、久高遙拝所(くだかようはいじょ)というスペースに立つ。石の上に立つと、数キロ先に浮かぶ久高島が眼前に見えるようになっている。

「シャーマンはここで島をみながらコンセントレートしたらしいゾ。」

なるほどすごい場所だった。こればかりは文章では伝わらないから何も書かないが、強力な磁場だった。しかし、言葉にしにくいのだが、石場に立ちながら、このうたきにはまだ公開されていない場所があって、そこが本当に重要な意味を持つ場所なのではないかという気がした。

加賀谷と無言で山を下りる。圧倒された後は言葉が出にくいものだ。と、駐車場まであと30メートルという地点で、いきなりピンポン球大の雨粒が叩きつけてきた!

「うおっいきなりきたなぁ!」

加賀谷もびっくりして車に走る。雨は降り始めからわずか5秒で、凄まじいスコールとなった。この車からの写真をみればその凄絶さがおわかりだろう。

山の上にまだ居た人たちがちゃんと雨宿りを出来ているか気になる。しかしこれぞ沖縄である。

 こんなコト言う必要もないのだが、僕は極性の晴れ男である。イベントの時に晴れる率が高くなるというのはもちろん、台風には強くて、過去数回進路を変えたことがある(笑)ただし、条件があって、デートとかそういう場合に強いのである。今回だって、上陸が一日ずれていたら台風で欠航になっていた可能性が大きいのだ。
 しかしこのスコールについては、どうも せーふぁうたき の場所的な諸力が関係しているようでびびった。というか、そういう解釈をしておこうと思った。

神妙な気持ちになりながら、五分ほどで雨あしが弱くなるのを待って発車。

「じゃ、行くか、グリーンカレー。」

沖縄の南部の海岸沿いの幹線から一気に山の方面に登る道に入り、ひたすら登って開けたところにカフェ「くるくま」はこちらという看板がある。そこを曲がってしばらくいくと、綺麗なリゾート風の建物があった。

■カフェ くるくま
沖縄県島尻郡知念村1190
098・949・1189 
http://www.nakazen.co.jp/cafe/cafe.html


ん?ここかよ、、、

なんだか観光客向けっぽい感じがする綺麗な建物だ。本当に旨いのかぁ?と思ったが、卓を信じることにした。

店内も綺麗で、第一、シービューである。珊瑚礁に守られた湾が一望できる。と、海を観ているとまたスコールが始まった。

くるくまは、地元の健康食品関連の企業が経営しているカフェレストランらしい。なんとタイのシェフを招聘し、厨房を仕切ってもらっているので、アジアンテイストのレストランが出来ているらしい。メニューはカレー中心だが、タイ料理ももちろん多い。ここのウリはハーブ類が自家製であることらしい。本州ではあまりつくれないタイ特有のハーブも作られているようだった。

加賀谷は、ここのスペシャルカレーである台風カレー。

「そだね、じゃあ僕はグリーンカレーと、くるくまチャーハン」

と2皿を頼むと、きっちりとした身なりのウェイター君が眉間にしわを寄せながら、

「あの、かなりご飯の盛りがよいので、お一人様一つで十分かと思いますが」

そんなことをこの僕に言うなんて!なんたる愚問!と思い、「全然大丈夫だから持ってきてよ」とお願いする。大体、こんな小綺麗なカフェで出てくるカレー2皿食べられなくてどうするよ、と小馬鹿にしたような笑いをして待ち受けたのだ。


そして、驚愕の瞬間が来た。

■台風カレー

■グリーンカレー

■くるくまチャーハン


で、でけぇ!

どれも超大盛りである。写真に、比較対象物を乗せていないのが悔やまれるが、これはスゴイ量だ。ウェイター君の判断は半ば正しかった。心なしか、彼の目が「ホラ、言ったとおりだろ! ああいった手前、残すなよな!」といっているかの様である。

「お、いい盛りだねぇ。じゃ、いただきまーす」

と軽くいけるゼ感を演出しながら、内心は冷や汗ものだった。イラブー汁によりもたらされた平安な胃袋が、一気に最強食い倒れモードに突入する。

しかしここのカレー、実に絶品であった。

「うぉ、このカレー旨いよやまけん!」

加賀谷が呻く。やつの日本風カレーは確かに旨かった。そして僕が頼んだグリーンカレーだが、これが本当に素晴らしかった。

グリーンカレーは、出来合いのペーストで作ってしまうとどうしても今ひとつだ。やはり当日に石臼でハーブ類を潰して作ったフレッシュなペーストで作るカレーが最高だ。そしてこのくるくまのカレー、タイの鮮やかな色彩感溢れる香りと旨味に、日本ならではの柔らかなコクもプラスされているように感じた。

いや、旨い。チャーハンは、ハーブチキンを乗せたもので割と普通だが、これも旨い。けど、多い!うーんこれは死にそうに多い。

しかし僕は食い倒れ党の党首である。負けるわけにはいかない。

「オレは、米には強いんだよ」

とうそぶきながら、なんとか自分のグリーンカレーとチャーハンを平らげた。加賀谷は、自分の台風カレーのご飯を食いきれず、半分残している。いつもの僕ならその白飯もやっつけるのだが、今回は無理だ、、、

いやしかし
大盛りのイロモノで観てはいけない。このくるくまのカレー料理、実に素晴らしい内容であった。ここだけで夜飯を計画してもいいくらいである。

店の外に出ると、やはりスコールは上がっていた。車でしばらく海沿いの道を走り、市内に戻る。今夜はもう一つのクライマックスが待ち受けているのだ。それは、卓のパパさんが懇意にされている、琉球料理の伝承者、山本彩香さんの店に連れて行って頂くのだ。

そして、この夜は、信じられないほどに深い琉球料理の世界観を見せつけられることになったのである。明日、僕は渾身の力を込めてこれを書く。連休中だけどぜひ読んで頂きたい。