横須賀の夜もかなりイケル! バー「サンライズ」と絶品魚料理「海蔵」

2004年9月24日 from 首都圏

 抜けるような青い空は、明らかに夏から秋への移行期を物語っている。この季節も大好きだ。そんな空の下、横須賀にある長島農園に向かった。久しぶりに勝美君に会うということもあるのだけど、もう一つ、ライブドアの堀江社長と情報交換もあるのだ。彼も球団参入とか色々忙しそうだけど、都心から1時間半はかかるところまで、社用車でやってくるという。

 農園に着くと、大体の作業は一段落していた。一般の人は余り知らないだろうけど、農家さんは朝、陽が昇る前から仕事を始め、昼食後の暑い時間は作業を避けることが多い。季節によって変わるが、昼下がりはお休みタイムである。

「カストールから注文が来たから、プルピエの選別しようかヤマケン。」

そう、代々木上原のフレンチ「カストール」の藤野さんは、長島農園のファンになっていただいたようで、かなり野菜を買ってくれているそうだ。そのオーダーにあるプルピエを選別する。

ちなみにプルピエって何だかおわかりだろうか?日本でもごく普通に生えている、いわば雑草である。日本名はスベリヒユだ。この画像を見て、「あ、うちの庭に生えてる!」という方、良く洗って生のまま、サラダにしてみて下さい。酸っぱいドレッシングと良く合い、少し粘りけのある美味しい野草なのです。

畑には、ちょうど季節の切り替わりなのであまり作物はない状態。そんな中でも10品種くらいは面白い作物が植わっているのが長島農園の面白いところだ。

珍しい赤オクラは、さやが長くなっても固くならない。少し分けてもらったので、食べてみようと思う。

じゃがいもはこの辺ではまだこれくらいの生育状況。しかし、陽光下で撮影すると、植物って本当に美しい。


「面白いトウガラシもあるよ!」

というので行ってみると、なんとハラペーニョである。和種の大なんばんも含め少し分けてもらう。うーん何に入れようかな。

この日は、勝美君の妻君であるフランチェスカも横にいてくれた。彼女はドイツから嫁いできた超美人である。もう日本で5年くらい経つので、日本語もかなりなレベルに達している。海外の男性と結婚する日本人女性は多いが、その逆はあまり訊いたことがない。勝美君あっぱれである。

そうこうしている内に堀江氏登場。2時間あまり、色んな話をする。

特にビジネスの話をしている訳ではないので、あまり勘ぐらないようにしてくらはい。

呑みにも誘いたかったのだが、会議があるとかで、とんぼ返り。ああ、飲みに行きたいなぁという目で車に乗り、去っていった。

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「じゃぁ、メシに行こうかぁ!」

長島家で風呂を浴びさせてもらい、汗を流して出陣である。長島農園は、京急線のYRP野比という駅が最寄りである。YRPは横須賀リサーチパークの略で、かのNTTドコモの研究所などがあるのだ。一つ隣の駅には久里浜があり、地方都市としては栄えている方だ。そのため、小さな町だが気の利いた店も点在している。

「野比にこんなバーがあるのか!っていう店に連れて行ってあげるよ。まずはここで一杯やろう。」

と、YRP野比駅から歩いて3分の街道筋にある小さな小屋のような店に入っていった。

■サンライズ
神奈川県横須賀市野比1-19-9
TEL046-849-2611

小さな店で、L字カウンターに8人座ると満員になってしまう。ラフな格好のバーテンダー(店主)は30少し前の若い釣り師だが、横浜の某バーで修行していたしっかりものだそうだ。

初めての店をベンチマークする際にはやはりマティーニが一番だ。

「じゃあ、マティーニいただこうかなぁ。」

この店のマティーニはタンカレー、オレンジビターズ、ノイリープラットだ。観ていると、グラスを氷でキンキンに冷やし、ステアグラスに氷を入れた後、まずビターズを数滴垂らして氷をステアし、捨てる。その後、ベルモットを少し注ぎ、ステアした後にまた捨てる。そうしてできた、香りが微細に残り十分に冷えたステアグラスに各種を調合。

贅沢な造り方で出てきたマティーニは、ビリッと切れ味鋭い味、しかもドライに決まっており、実に美味しかった。

「ヤマケン、これで800円しかとらないんだよこの店。」

それは安い!横須賀、いいところではないかぁ!本当はこの店、軽井沢の「ヨナヨナエイル」というビールを出すのだが、この日は「丁度明日が入荷日で、古くなっているので」と、味見しかさせてもらえなかった。そういうところも良心的だ。勝美君はかなり常連化していて、店にくるお客さんとも談笑しながらの会となる。空きっ腹にマティーニを入れたので、もう僕は酔っぱらい初めである。

「よーし じゃあ飯だね!」

と向かったのは、一駅電車にのって久里浜である。

横須賀は海の町である。当然魚がいいわけだが、その横須賀近辺でも以前から「旨い魚が食える」と評判の店があるのだ。勝美君に以前連れて行ってもらおうとしていたら、残念ながら閉まっていた。今回、リベンジである。

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■海蔵
横須賀市久里浜4-16-4
046-835-5552


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店主一人、若い女性の仲居さん一人の小さな店だが、常連客で溢れている。カウンタに座り、メニューを観ると、刺身も1000円以下のものばかりでかなりリーズナブルだ。

まずは刺身盛りを頼む。

「今日は入ってるんでしょ、ウスイのタコ?」

「あ、すみません、今日はウスイのじゃないんです。」

「えええ?」

と絶句する長島君。

「いやね。ここに魚を卸している船頭さんが俺の友人なんですよ。彼のところで茹でたタコが最高なのに、今日はないんだなぁ。残念。」

「何が違うの?」

「ゆで汁。何年も継ぎ足し使ってきたゆで汁でタコを茹でるんですよ。もう、まったく違う味になるから。」

ということなのだが、運ばれてきた刺身盛りのタコでも十分に旨かった!これでもっと旨いっつうなら本当にすごいのだろう。


刺身はさすがに文句なしに旨い!漁港ならではの鮮度だ。

一品料理もかなり気が利いている。揚げナスにウニを乗せ、炙った皿は実に最高の相性を見せた。

天ぷらにあるレンコンの海老すり身はさみ揚げが秀逸。海老しんじょの種を挟み揚げたレンコンはしゃっきりした歯触りと中身のふっくらがマッチし、海老の風味も香って旨かった。

「カワハギの煮付けです。」

「おおおっ 肝が最高~!」 「フォアグラよりうめーな!」


そう、皮はぎはこれからが三浦での旬だそうだが、プルプルの肝が絶品であった。ホロホロと柔らかく崩れる身に肝をチョンと乗せ、口に運ぶと、あっさり目の身に肝のコクが乗って、ご飯を3杯くらいお代わりしたくなる旨さなのである。

「飯、メシ食おう!」

と頼んだのは、小柱のかき揚げ天丼だ。

これがもう絶品の〆ご飯であった。甘辛いタレにくぐらせた小柱かき揚げは、タマネギのシャクシャク感と甘みと小柱の弾力が相まって、次々とメシを口に運ばせる。

「なんだよ、旨い店じゃないかぁ、、、タコはなくとも十分だよ!」

ちなみに日本酒の品揃えもたいしたものだった。ただし食中酒には向かない十四代や磯自慢大吟などが奨められるので、これは辞退するのが吉。この日は田酒の燗を軽く一杯だけいただいた。

いやもうこれから長島君のところにいったら、ここに来るしかないな。絶品であった。しかも安い!東京からの日帰り行でも存分に楽しめるコースである。

「いや、今日はなかなか会えない人とも出会えたし、よかったよかった。」

という長島君と別れ、一路木場へ。日本橋までは京急で一本なので助かる。もちろんほろ酔い・満腹の身体をシートに沈ませ、眠るだけの帰り道であった。