僕の農業関連の盟友で、これまでも数回このブログで紹介した「のざけん」というヤツがいる。愛媛大学の法文学部の助教授を務めるのざけんは、全国の先進農家とつながっているネットファーマーである。
そののざけんが昨年、アメリカに研究遊学に行っていた時期があった。
「やまけん、こっちはおもろいぞ。アメリカの消費者の食べ物に対する感覚の変化が肌で分かる」
と言っていたのだが、その”変化”がナニモノであるのかまでは思い至ってなかった。しかし先日、彼から送られてきた本にその答えが載っていたのだ。
■はじめてなのになつかしい 畑カフェ 田んぼレストラン
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/index.html

この本の後半も後半に、のざけんが寄稿をしているのだ。
~オーガニックからローカルへ!~
「社会運動化するアメリカのローカル・フード運動」
愛媛大学法文学部助教授 野崎賢也
「やまけん、アメリカではもうオーガニックは潮流として後退している気がする。代わりに、地縁的に食を成り立たせる”ローカル”っていう言葉がキーになってきているんや」
と彼は言うのだ。興奮して、貪り読んでしまった。
日本の新聞報道などでは、アメリカという巨大な国についての一側面しか漏れきこえてこない。食事情についてもそうだ。すでに階層化されているアメリカの食文化は、意識が高い層と低い層とでかなり開きがあるものの、その大部分が「崩れている」というイメージが強い。しかしそれもまたステレオタイプというか、一様ではないのだ。
野崎によれば、実はアメリカで現在、食に関する意識は非常に高まり、大規模なアグリビジネスではなく、地域に根ざした食のあり方「ローカルフード」を求める社会的な動きが強まっているそうだ。
「個人的な実感だが、アメリカにくらべて、日本のインテリ層・中上流層の食への感心や意識は低いと言えるだろう」「日本の地産地消のようすを見ていると、こうした日本の食と農の現状の何が問題で、それをこうすればよくなるから地産地消を進める、という現状の批判的分析、つまり土台となる出発点がかけているように思えてならない」
(どちらも本文より引用)
という最後の段落のテーゼは刺激的だ。
アメリカの現状(の一側面かもしれないが)を知りたい人はぜひ読んでみると佳いだろう。東京近辺にいる方なら、大手町のJAビル地下にある農文協直営の書店で買えるはずだ。ちなみに全く関係ないけど、JAビル地下街の入口にある酒販店「永楽」では、「うそっ!」と声を出すほどに素晴らしい純米酒の品揃えがある。竹鶴も扶桑鶴もるみ子の酒もなんでもあるワンダーランドである。JAビルは近いうちに移転するらしいので、今のうちにぜひ足を運ぶといいだろう。
話は戻るがこののざけんこと野崎は、しばらく前から独自の方法で食育に関する研究を行っている。
今後、食や農、地域といった話題の中で、もっと必要とされる人間であることは間違いないと思う。
面白い記事ですね。私はある中西部の街に住んでいますが、ここに住んでいる人々は食に対する意識は非常に高いと思います。野崎さんの言葉はかなり的を得ているなと思いました(残念ながら全部読めませんが)。ここでは大規模なファーマーズマーケットと小規模なものがいくつかシーズンになると盛んでローカルなものをサポートする体制が出来ています。地元の優れた野菜や肉を中心にサーブするレストランも大成功しています。とにかくローカルなもので安全で、新鮮で、美味しいものを食べようという意識が高いポピュレーションが確実に育っているというのが印象です。農家の方々も非常に良く研究していると思います。やまけんさんが以前書いていた放し飼いの豚もこちらで食べることも出来ます、うまいです。草だけ食べて育った牛もいます、味が濃いです。みんなこぞって買っていきます。日本の野菜やリンゴも驚くほどの数が取り入れられています。わたしは夏、地元農家が作った取れたての枝豆を毎週食べていました。非常に研究熱心でまじめな農家の方がこのローカルフードの波を支えてると感じています。残念なのはこういった波がアメリカに住んでいる日本人から発信されることが少ないことですね。逆にアメリカに住んだことがある人が”アメリカのものはこうだ、まずい”という日本でいだいていた固定観念そのままを、いろいろためすこと無く、有名な大型スーパーだけしか行かない生活をして、日本にフィードバックしてさらにその固定観念を強烈にしていくというある流れがあることですね。その意味で野崎さんの記事はある真実の側面を伝えてると期待できます(全部読むことはできないのですが)。
Posted by: 通りすがり at 2006年03月10日 01:22地元でも地産地消は行政をあげて推進しております。がしかし、ご指摘の通り、根本的な問題が説明されずに、中途半端な気持ちです。
やまけん様は、根本問題をこれからの将来、どう捉えていかれますか。ご意見をお聞かせ下さい。
のざけんです。
いまちょうどニューヨークに来てます。
昨日は、「工業的農業」の現状を批判し消費者の持続的な畜産への理解を促す無料のオンラインムービー「Meatrix」のプロジェクトをすすめてるNPOを訪問して話を聞いてきました。
http://www.themeatrix.com/
週末にはサンフランシスコに移動して、Local Food関係の活動してるNPOなどを訪問してきます。
>通りすがりさん
どちらにお住まいでしょうか?
そちらの状況も興味深いですし、メールいただければ、本文お見せできます。
通りすがりさん:
「残念なのはこういった波がアメリカに住んでいる日本人から発信されることが少ないことですね。逆にアメリカに住んだことがある人が”アメリカのものはこうだ、まずい”という日本でいだいていた固定観念そのままを、いろいろためすこと無く、有名な大型スーパーだけしか行かない生活をして、日本にフィードバックしてさらにその固定観念を強烈にしていくというある流れがあることですね。」
というお言葉、非常に重要なものをいただいたような気がします。良くも悪くも日本人にとってアメリカとは象徴的な存在であり、十把一絡げに形容してしまいたくなる対象なのかも知れませんね。中西部のお住まいの地のローカルフードの状況、素晴らしいですね。のざけん、立ち寄れるといいのだけれど。
人産人消さん:
根本的な問題は地産地消側よりも、それを利用する生活者の意識を如何に変容してもらうか、にあると思います。スーパーより安くて新鮮だから買う、ではなく地元だから買う、という意識の動機付けをもっと進めていかなければならないと思うんです。いま各都道府県がやっきになっている「ブランド化の推進」の方向性を、もう少し変えていく必要があるでしょうね。
ところで人産人消さん、どちらの方でしょう?差し支えなければメールでも下さいね。
のざけんさん、やまけんさん
コメントありがとうございます。
>のざけんさん
ぜひ記事を読ませていただきたいです。ぜひ連絡をさせていただきたいのでメールアドレスを教えていただければありがたいです(ここの私のyahoo mailは使えます)。私が住んでいるのはウィスコンシン州のマディソンという街です。シカゴから車で3時間ぐらいです。ウィスコンシンはもともと農業が主体の州です。冬の寒さは非常に厳しく、外のマーケットは冬の間はありません。肉やたまごは直接農家から手に入れることはできますが。夏の間にファーマーズマーケットは最大規模になります。興味がおありでしたらいろいろなサイトもお送りできます。
のざけんです。
>通りすがりさん
ウィスコンシン・マディソンですか。ほんと、農業、なかでも酪農が盛んなところですね。大学の農学部も非常に有名で、いろんな活動をしてるところですね。それと、寒さは半端じゃなさそうで。
コメントのメールアドレスは表示されないようですが、やまけんが把握してると思いますので、すこしお待ちください。いま日本は深夜ですね。
やまけんさん
メールありがとうございます。
現在は、山口県をおもですが、九州に異業種の集まりがあり、今後は、福岡を中心に一から考えております。やまけんさんにもいろいろとご指導を仰ぎたいと思います。
ありがとうございます。