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2006年06月11日

絶品の生粉打ち蕎麦 銀座「流石」でタツヤンと蕎麦を食う。

※土曜日定休と書いていましたが、月曜日定休の間違いでした。もうしわけない、お間違いないようお願い致します。

例によって例のごとく、広島の竹鶴酒造の石川達也杜氏が東京にやってきた。冬の造りも終了し、純米酒が秋あがりに仕上がる手前の今のタイミングに東京に出てくるというのが、蔵で働く人の基本パターンだ。今回は夜の予定に合わせることができなかったので、「あ~ いやぁ~ え~ 昼飯でも食べようか」
ということになる。

しかしこのタツヤン、あたりまえのことながらかなり口が肥えておられるので、何を選ぶかについてはいつも苦慮する。いままで「文句なしに旨い」と言われたことがあまりないのである。

タツヤンは蕎麦好きだからなぁ、じゃあやっぱりあそこか。あそこなら不味いとはいわれないはずだ。そう思い地下鉄の宝町駅A1出口を出たところで待ち合わせし、銀座「流石」に向かうことにした。雨がそぼ降る地上で待っていると、のそりのそりと上がってくる気配。日本酒会のゴジラこと石川達也の登場である。

さて
この「流石(さすが)」は、先日出た「やまけんの出張食い倒れ日記東京編」の冒頭に出てくる店である。本に載せた店のエントリはしばらくはこのブログに書かないという感じにしているのだけど、もういいな。

■流石
東京都中央区銀座1-19-12 理研ビルB1階
03-3567-0012
月曜定休

店にはいると、女店主の藤田千秋さんが「あらあらあらあら」と出迎えて下さる。バードコートの野島さんに誘っていただき、スタミナ苑で焼肉を一緒に食べた時、酔っぱらってマシンガンのように喋りまくり、そして轟沈して眠りに落ちるという凄まじいバイタリティをみせた傑女である。タツヤンもこの店は初めてということで名刺交換。

この店は、修善寺にある蕎麦の名店「朴念仁」の流れを組んでいる。藤田さんが出版社に務めている時、朴念仁の伝説の主人、石井さんの蕎麦を食べて、そのあまりの素晴らしさに感動して弟子入りしてしまったのだ。で、石井さんの流れを組んでいるから、店の名前が「流石」。その辺のくだりは本でびっちり書いているのでぜひ読んでいただきたい、とさりげなく宣伝(笑) 

メニューを見て、ざるそばが千円から始まっているのをみてたいていの人が「高いなぁ、やっぱり銀座だなあ」というが、その中身を見れば決して高くはない正当な金額だとわかるはずだ。この店は10割の生粉打ち、そして驚くほどに細く打たれた超絶技巧&美味蕎麦屋なのだ。
まずは玄挽き蕎麦(くろびきそば)を注文。1500円の価値を十二分に感じる、蕎麦の香りがこれでもかと立ち上る絶品だ。

しばし品書きをみてうーんと唸るタツヤン。しかしみればみるほど本当にゴジラ顔である。というと、

「あ~いやいやいや 最近はね、『モアイ』っていう新しい名前を頂戴してるんだよ」

と笑う。確かにね!
結局、玄挽きに鴨汁せいろを頼むことにした。

さて玄挽き蕎麦が運ばれてきた!
っているものの口の中で程よくほぐれていく。その瞬間に生粉の香りがデュワッと解き放たれるのだ!

見るからに香りが立ち上りそうな色つやと同時に、この細さをみて欲しい。オールアバウトの蕎麦コラムでここの蕎麦を「カッペリーニ」と書いておられたのを見たことがあるが、言い得て妙。まさにカッペリーニ級の細さである! しかもこの蕎麦、細いからといってギュウギュウに締めて打たれているわけではない。程よい柔らかさ・硬さなのである。

「おおっこれは旨いね!」

とタツヤンが言った!
やったぜ!蕎麦を食べに来てタツヤンが旨いと言ったのはこれが初めてかも知れない。

ちなみにここの蕎麦つゆはドブドブとつけて啜り込んでお代わりできるものではなく、有料。でもそれも当然だ。調味料や出汁はすべて本物で、可能な限りきちんとした素性のものを扱っているのだ。

「だってねぇ、蕎麦粉にはこだわってますとかいう人の厨房をみせてもらうと、醤油や酒は安い大メーカのもの使ったりしてるのみるんだけど、それじゃ蕎麦が可愛そうよねぇ!」

という藤田さん。同感である。蕎麦は間口の広い食べ物だから、流石のような店ばかりになる必要はまったくないけど、同等の値段なのに「なんじゃこりゃ」の店が多い。それなりの値段をとるならきちんとやっていただきたいと思ってしまうのであった。

つまみとしてとった桜海老のかき揚げ。

これがフワッとサクッと揚がっていて、実に最高。雪塩かな、微粉状の塩でいただく。

フラッシュなしで撮影したけど、割と綺麗に撮れているな。
ちなみに、昨日新宿のヨドバシでキヤノンのEF50mm f1.8を衝動買い。9000円と安いレンズだけど、f値の明るい、手軽な標準レンズということで、今日はこれと広角レンズで手持ち撮影だ。画像補整するともっと色がきちんとなるのだろうけど、まあこれで許して下さい。


さて鴨汁せいろである。
この店に来たらこれしかない!と僕の本でもイチオシに薦めた一品なのだ。ただし、通常ならシャラン産の鴨を使っているのだけど、今はフランスからの家禽の輸入が停まっているあおりで、国内でも手に入らなくなってしまった。そのため、今は合鴨を使っているそうだ。うーむシャラン産の方がコッテリギトッとしていて好きだったのだが、国産の合鴨だとあっさりして食べやすい。どちらも佳しということになるか。

それにしても大きな鴨肉が5枚くらい入っていて、十二分に楽しめる。しかも鴨汁に最後にそば湯を足すと、「マジ?」とビックリするほどの旨いスープになるのである。

しかしさすがモアイ、都合2枚のせいろではお腹一杯にはならないようである。

「あ~ ひやかけ蕎麦ってのが美味しそうだねぇ、あとそばがきも食べてみたいねぇ」

実は藤田さんのお薦めはこのひやかけなのであった。ということで追加。

なんとも潔く、キンキンに冷えただし汁がはられた中に蕎麦がたゆたっている。最初はプレーンで食べ、その後、大根おろしに梅肉を混ぜたものを入れて食べて下さいということだった。

結論からいうとこれが最高に旨い!
キンキンに冷えているのに鰹の香りがブワンと鼻に抜けていく出汁の素晴らしさと、冷やすことによって適度に引き締められた蕎麦のギシッという食感とのコンビネーションがなんとも旨い!
梅風味大根おろしを加えてたべても爽やかで美味しいが、実は何も加えずに食べてもいいなぁ、という美味しさであった。

そしてそばがきがまた絶品だったのだ。まるでムースのようなプワンとしたテクスチャ。

このムース片にわさびをチョイと載せて醤油をつけ、口に運ぶと、空気の入り方が半端じゃなく、本当に口の中でムースのようにとろけていく。粗挽きの粉ではなく超微粉のようなメッシュの粉に、空気を多量に含ませながらそばがきにしているのだろう。実に素晴らしい!

「最近の流行は、粗挽き粉でネットリしたそばがきにすることらしいんですけど、うちはこういうスタイルで、柔らかくふんわりたべられるように仕上げてます」

一品一品に気の配られた、理由がきちんと内在された皿ばかり。唸るしかない。

「いやぁ~ 本当に旨かった!」

とタツヤンも上機嫌だ。しかもソムリエ・利き酒師でもある店の女の子にせがまれるという状況に。
実は竹鶴を置く店に明日、店のみんなで食べにいくのだという。そこへ、杜氏が来たということでびっくりしていたのだそうだ。そういうこともある。

大満足。やっぱり「流石」はさすがである。ハズレのないそば屋が一軒ここにある。しかも日曜日も空いているのが嬉しい。いい昼飯だったのである。

Posted by yamaken at 2006年06月11日 15:04 | TrackBack