新潟ってすごい!長岡~上越地域食の宝庫を味わってのけぞった! 「ラーメン潤」のオーナー潤さんの新店「ホームラン堂」にて越後もち豚食いまくり~燕三条にて痛飲の夜

2006年7月24日 from 出張

久方ぶりの郷土系B級グルメ全開のフレンドにてイタリアンとカレーイタリアン、餃子をいただいて、さすがに満腹で死にそう。ホテルにいったんチェックインして一休みし、夕食を迎えることにした。

「やまけんさん、夕飯なんですけど、豚肉専門の焼肉やさんにお連れしたいんですよ。ラーメン店を展開している人がやまけんさんに会いたいっていってるんで、、、」

おおーう 肉か!
新潟に来て肉というのもなんだなぁと思ったが、新潟の豚事情は余り知らないし、それもまた一興か、と思いありがたく受けることに。

そして夕刻、まだ日の落ちない時間に着いたのが「ホームラン堂」という新しめの店だった。

■ホームラン堂 長岡場所
新潟県長岡市南七日町50-2
0258-46-0039

店にはいると、奥の座敷に親しみやすい顔の兄さんが座っていた。

「よお、どうも~」


この方、見覚えのある人もいるだろう。特にラーメン好きな人たちは知っておられるのではないだろうか?

新潟一円と東京の蒲田に「ラーメン処 潤(じゅん)」を展開している、その名も松本潤一さんだ。
ご存じの通り僕は余りラーメンを好きではないので、彼を知らなかった。でも、彼が作っているラーメンは食べてみたい!と思わせるものがこのあと数時間で速攻的に醸成されたのである!

「いやぁ、ジン君がね、『やまけんって人を連れてきたいんだけどいいですか?』っていうから、俺、本も買って持ってるよ!っていったんだよ。不思議なもんだねぇ、、、」

なんと潤さん、僕のブログのみならず本の読者さんだったのだ!ビックリである。

「ここはね、ラーメンだけじゃなくて豚肉専門店やりたくて作った店なんですよ。新潟には越後もち豚っていうのがあってね。そこときっちり一緒にやりましょう、ってことになったんで。」

おお、もち豚かぁ!
と感動している間に、豚肉盛り合わせの皿がやってきた!

圧巻!

越後もち豚とは何か。これは豚の品種名ではなくブランド名だ。全国に「もち豚」と称するブランド豚がたくさんあるのだが、これは「和豚もち豚」というブランド牛を展開している、グローバルピッグという養豚グループのものである。僕は機会あって、赤城にある本部に視察にいったことがある。養豚業とは結びつかないような近代的施設の中でビシッとしたスーツで対応してくださった社長の姿が忘れられない。

畜産とくに養豚業は、農産物とは違い計数管理がきちんとできる業種だ。母豚の受精、子豚の生存率、育成豚の増体率などの数値をきちんと把握し適切な管理をしていくことが重要であり、逆に言えば農産物よりもシステマティックに管理のできるものなのだ。グローバルピッグのグループ農家では、すべてある優れたコンピュータソフトウェアを導入して係数管理をしている。それに、豚の品種(かけあわせ)や、どのような飼料を使うかということが掛け合わさって味が決まる。グローバルピッグでも特定の種豚を指定し、餌もレシピをきちんと決めてグループに安定した品質のものが渡るようにされている。

結果、「もち豚」ブランドの肉はたいがいの豚肉より美味しいと思う。

その新潟のグループが送り出しているのが「越後もち豚」だ。最近、ビールのキリンがキャンペーンで47都道府県の旨いものをプレゼントしているようだが、新潟で選ばれているのがこの越後もち豚であった。

「あー よく知ってますねぇ! そう、もち豚だからできたんですよ、この店は!特に内蔵系がほんとに素晴らしいの。レバーなんて豚レバーとは思えない旨さですよ!」

とおっしゃるだけあって、確かにどの肉もキラキラしている!

なんとこれはレバーに網脂を巻き付けたものだ!
ちゃんと素材に手を入れていらっしゃるのである。

これが豚タン。

牛タン不足のあおりで豚タンの売れ行きがいい様だが、味は牛とは全く違う。もちろん違う良さがあるという意味だ。食感が幾分こりこりしているので、それを活かす味付けが求められるところだ。

「うちではね、溶岩板を使って肉を焼くんですよ。これだと焦げ付かないし肉に均一に火が通るんだよね。」

と、運ばれてきた溶岩版がコンロの火で熱せられたのを確認した後、肉投下!
ジュワワアッっと汁が爆ぜる!

週アス取材でもあるので、八木澤カメラマンのフラッシュが連発で光る!
軽く火が通ったところで口に運ぶ。コリッとした豚タン特有の弾力に、強めの味付けが映える。

「旨いッスね! 鮮度がムチャクチャいいです。」

「いやーそりゃ 肉の熟度と鮮度にはこだわってますよ!」

そう、熟成がきちんと進んだ肉を出すというポリシーらしく、それには養豚場や食肉処理場との緊密な関係が不可欠だ。そう言う点でみても、ここの肉はハズレがない!

くだんの網脂レバー。

焼くと網脂は溶けて形が無くなり、脂の濃い香りがレバーの風味に溶け込んでいく。

「うおっ これホントに豚レバー?」

八木澤さんが驚く。

ここからはもう乱戦模様だ。豚トロ、ホルモンなど溶岩板に乱れ打ちの様相となった。

そしてこの間、潤さんとのトークが面白くて白熱しまくり!
肉の食い方の話からそのほか素材の話、ラーメンの話まで縦横に走りまくったのである。これは絶対にラーメン潤・蒲田店に足を運ばねばなるまい。

「うん、どうせいくなら蒲田店にいって欲しいな。頑張ってる店だからさ。テレビとかで採り上げられたりしたけど、ホントに気合いいれてるから。」

ちなみにこの店、サイドディッシュがまた旨い。
モツ煮込みは、もち豚のモツの素材がいいのと処理が旨いので、臭みもなく旨みたっぷりである。味噌の甘めな塩梅もよし。

ちゃんと出来合のものではなく作っているという焼売も旨い。

そして圧巻はレバースモークだ。

レバーが旨いんだから不味いわけがない。奥の深いほろ苦さと甘さ、塩気が混じり、思わず酒が進んでしまう。

「潤さんこれ、あまりスパイス使わないで塩と胡椒と砂糖中心でしょ?」

と聴くと、にまぁ~っと笑って

「うん、そう。やっぱり単純なのが一番旨いのよ!」

と返してくれる。たっぷり2時間満喫・満腹である!

「いやぁ 嬉しいねぇ!なんかグルメの評論家って嫌いなんだけど、やまけんちゃんはよく食うからいいよ!」

とお褒め頂く。

「あのさ、ぜひ連れて行きたい店があるんだけど! こっから30分くらい車でいくんだけど、三条ってところにいいバーがあるんだよ! 新潟に?っていうようないいバーでね。そこのバーテンダーが創作したカクテルで、コンテストでも優勝しているやつがあるから、飲みに行こうよ!」

ジンがこれを聴いて「え?いまから三条ですか?」と目を丸くする。「いいじゃん俺が持つからサ」と潤さん、まさに豪放磊落である!

さてタクシーで30分、三条の駐車場に車を入れると、そこは本当に地方都市の繁華街。特有の夜の香りが漂っている。

「何軒か連れて行きたい店があるんだけどね、、、あっ今すれ違ったのがその店のマスターだよ!なんだ、もう飲んでやがんのかぁ、、、」

など、三条・夜の町散策をしながら、バー「ラスティーズ セカンド」に入店する。

オーナーである女性バーテンダー、梨木さんが作ってくれた「ブラックトルネード」はマジで旨かった!

黒いリキュールであるオパールネラ ブラック サンブーカを使ったこのカクテル、どことなく薬草系の香りがする。もしかして、僕がオーパ門前仲町店でよくいただく「ドクターM」に使われているイエーガーマイスターが入っているのでは?と質問すると、

「そうですそうです、入ってますよ!」

という!そうかぁ、俺好みのはずだ!


■ブラックトルネードのレシピ(サントリーさん)
http://www.suntory.co.jp/cgi-bin/wnb/cktl.pl?ID=black_tornado

「な? この感覚はけっこうすごいと思うんだよ。」

いや本当に。
しかし最終的にはマティーニを飲まないと、そのバーテンダーさんの実力がわからない、なんて通ぶった台詞を胸の内に、カウンターに移動してマティーニを作って頂く。

これがもう文句無しの絶品だったのだ!
キレのいい、そして粒子の細かいジンとベルモットの複合体である。ビビッた。

新潟のポテンシャルは本当に高い!

「そうだろ?新潟ってすごいところなんだよ!俺はそれを伝えたくて、、、」

潤さん、よーく伝わりました。
今日一日で回った関要肉店、小林さんの茄子畑、フレンド、ホームラン堂、そしてラスティーズセカンドと、全てそれぞれの世界の標準を軽く上回るすばらしさである。なんという豊饒の地なのだ、長岡は!

疲れが出たか、仲卸ゆえの朝型で参ったか、ジンが寝ている。厳かにタクシーで長岡まで帰還。明日は上越である。さてどんな出会いが待ちかまえているのだろうか。