うおっと 駒澤大学前にこんな店があったか! 盛岡じゃじゃ麺専門店「おでって」

2007年6月28日 from 首都圏


さて、「壱番館」の三件隣にある、じゃじゃ麺の店へレッツゴーである!

■盛岡じゃじゃ麺 おでって
03-3487-4848
東京都世田谷区野沢2-34-2 サンワイズ野沢1階

シングル 360g
セミダブル 540g
ダブル 720g

という堂々の盛りラインナップが揃っている。
店自体は非常に小さくラーメン屋のような呈である。

赤い手ぬぐいが飾ってあるが、これこそ盛岡一高の応援団特製手ぬぐいである。そう、ここのオーナーも一高出身なのである。異様に母校プライドの高いのが一高の特徴といえよう。
さきの壱番館の小野さんとこのおでってのオーナーは同級生、そしてその後輩なのが、下の写真左手の「あっちゃん」である。

この人と話をしていると、岩手県人に対するイメージは大きく変わると思う。
関東に住んでいる人にとって、岩手県人はおとなしい、というイメージがないだろうか? なんとなくゆったりおおらか、ご飯も穏やかな味のものが多いと思っているだろう。しかし、岩手は広い。山間部に行けば、ギョウジャニンニクを漬け込んだ醤油で肉を食い、海へゆけばキンキンに鮮度の高い魚を騒がしく食べる、賑やかな人が多い。予想を裏切ってダイナミックなのだ。このあっちゃんも、他の人に話す隙を与えず、最後は「盛岡一高万歳」「岩手最高」という結論に持ち込む試合巧者であった!

ちなみに店内には、じゃじゃ麺の初心者用に、詳細な食べ方が掲示されている。初めての人も安心である。

テーブルのうえにはじゃじゃ味噌、ラー油、昆布酢、たまり醤油、塩、ニンニクのすり下ろしなどがびっちりと載っている。これらをどう使うかが、自分オリジナル仕様のじゃじゃ麺を食べるために大きく響いてくるのである。

「じゃあ最初は、水餃子!これが旨いんだ。」


運ばれてきた水餃子。
皮は厚め、モチモチ系である。

具材はあまりくどさのない上品な肉。なんだろうなぁ、と思っていたら、三件となりから小野さんがやってきた。

「手が空いたんで覗きに来ましたよ。あ、その餃子の具はね、普通の挽肉に鶏の手羽とセセリ(首肉)を入れてるんですよ。だから旨みたっぷりでしょ?」

なるほどぉぷりぷりした肉の食感はそこから来ているのであった。

さあそして本日のメインディッシュ、じゃじゃ麺の登場である!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
久しぶりにみたぜぇ 盛岡じゃじゃ麺!
一見してその特徴としてわかるのは、きゅうりの切り方が白龍とも香醤とも違うことだ。
種の部分を除き、歯応えが残る厚みにカットしてある。麺は盛岡の製麺業者に依頼し送ってもらっているそうだ。じゃじゃ味噌はもちろん、この店のオリジナル。小野さんとオーナー、そしてあっちゃんがケンケンがくがくしながら創り上げたものだそうだ。

ちなみにこのじゃじゃ麺、僕はセミダブルでいただいた。注文は「セットのセミダブル」である。セットとはなにか?実はこの店では「セット」というと、茹で野菜と塩豚というものがドンブリに入って出てくる。上の写真の左側の小ドンブリがそれだ。

このように厚めに切った塩豚とキャベツなどが入っているのだが、その底の方にこゆいスープが眠っている。このスープ部に、じゃじゃ味噌のかかっていない麺を、つけそばにして食べるというのがここの特徴なのである!

この汁漬けそばが実にグッド!
完全魚介系の出汁が利いている。

「これはね、うちが魚屋ですから、色んな魚の部位を煮詰めて濃厚なスープを作ってるんです。クロマグロの部位も入ってますよ。おそらくラーメンやさんではコストが高すぎて使えないでしょうね」

というそのスープは確かに濃厚、しかしギトギトしていないので美味しくあっさりたべられる。なんといっても麺に玉子やかん水が使われていない素直なものなので、実に食べ口が優しいのである。

さて満を持してじゃじゃ麺へと向かう。

この美しい盛りに、ラー油、にんにく、酢をかけ廻して、ぐっちゃぐっちゃにかき混ぜる!

でろでろの肉味噌まぶし麺をすすり込む。

あ、これはいいね! 「おでって」のじゃじゃ味噌は、非常に上品だ。白龍の濃厚さや香醤のギットリ感はやや薄く、肉の含有量が気持ち多く、そして味は綺麗にまとまっている。この店が立地する駒澤大学の味といっていいかもしれない。

「はい、おそらく盛岡の人が食べたら『ちょっともの足りないねぇ』と言うかも知れませんけど、でもこの味はアリだと思うんですよ」

と小野さんが仰るように、これは大アリである。
おそらく東京のじゃじゃ麺初心者に確実に旨い!と言わせる味だといえる。それに、もっとコテコテのが欲しければ、テーブル上のじゃじゃ味噌を追加し、ニンニクをゴテッと入れ、ラー油を5周りくらいかければ好みのものが出来るだろう。なんといってもじゃじゃ味噌継ぎ足し可能なのが嬉しい。

さあ、それではお楽しみのチータンの時間である。
卓上に載っている玉子を割り入れ、味噌と、残りの具とかき混ぜ、箸をドンブリにいれたまま店の人に「チータンお願いします」と渡す。

と、麺の煮汁をたっぷりそこに入れて返してくれるのである。これをかき混ぜていると、肉味噌かき玉汁のできあがり。これがチータンタンである。

はぁ~
しみじみ旨い。

この店、いかにもモデルみたいな女の子とかが一人で入って、ニンニクをぶち込んで食べている風景が日常的に展開されているそうだ。

「あれはかっこよかった。思わず声かけそうになったもん」

とあっちゃんが言っていたが、たしかにそれはありそうな風景だ。
じゃじゃ麺は、格好を付けて食べるものではない。日常の中で食べるものである。

「あのね、盛岡では『じゃじゃる』っていう動詞があるんですよ。昼にじゃじゃ麺食って午後の授業に出たら、ニンニク臭くて先生が『おめーら、じゃじゃったべ?』と訊いて、『もーやってらんね』って授業を適当にしちゃうんですよ(笑)」

「じゃじゃる」という言葉ができるくらいに、もうこの食べ物は郷土食化しているのである。
まだ体験していない人は、ぜひ早めに「じゃじゃる」べきであろう。