ニコン関係二連発。 大カメラマン・阿部秀之さんと呑ませてもらった夜! そしてミスター・ニコンのお話を聞いたのだ。

2009年12月 8日 from カメラ,首都圏

ニコンWebサイトのTalk! Talk! Talk! という記事に登場したということは書いたが、一番最初にそのきっかけを作って下さった取締役のU氏からお誘いをいただいた。

「忘年会やりましょう!親しくしているカメラマンさんも声かけますから」

ということで、井のなかへ行くことにした。

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ちなみにU氏と親しくさせていただいた経緯は以前も書いたと思うが、D700を買ってしばらくして、室内で撮影をすると変な色かぶりをしてしまうというクレームじみたエントリを書いたときのことだ。実はその現象は、蛍光灯の下でISO感度を上げすぎると、シャッター速度が速くなり、蛍光灯がまたたく合間を撮影してしまい、結果、黄色い色かぶりがしてしまうというものだ。つまりカメラの問題じゃなくて、撮影者の知識不足。それをご指摘いただき、すぐさま僕もゴメンナサイ記事をアップ。

そうしたら、そのU氏の素早い対応をいくつかのブログが「顧客サービスの鏡」というように採り上げたのだ(この時ばかりは、視ている人ってホントいるもんだな、と思った)。そうしたら、そのエピソードがニコンイメージングの社長さんの耳に入り、、、「よくやったね」と。

ということで仲良くさせていただいているのであった。ちなみにU氏は僕のブログのずーーーーーっと昔からの読者さんである。「いつか当社のカメラを使っていただければと思っていましたが、ようやく使っていただくことになって、本当に嬉しい」と言っていただいた。ニコンという会社の奥ゆかしさを感じてしまうのだ。

で、そんなU氏が声をかけたのだから、いらっしゃるカメラマンさんも相応の方である、ということくらいは推して知るべしだった。前日のその方のブログは拝読したのだけれども、アップされているのはコンパクトデジカメの写真で、食べ歩き・飲み歩き中心の内容なので、そのご素性についてはあまりわからないままに当日を迎えてしまった。

そのお方とは、、、

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阿部秀之さんである!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

■はい。阿部秀之です!
http://ameblo.jp/abe-hideyuki/

参った。大御所である。日本カメラグランプリの審査員でもあられる。

「いやー ちょうど今月の『月刊カメラマン』誌に、カメラマン仲間でいろんなメーカーのカメラについて辛口批評してる特集があるんで、読んでください!毎年この雑誌は、12月号が面白いんですよ(笑)」

といただいてしまった月刊カメラマン、むちゃくちゃ面白い!抱腹絶倒である。カメラメーカーからの広告が主な収入であろうカメラ雑誌に、ここまで書いていいの?という内容。いやー素晴らしい。

それにしても阿部さん、お顔を視ておわかりの通りものすごーくフレンドリーな方で、緊張気味の僕も嫁も、いつしか爆笑の海に連れて行っていただいた。ホントにエライ人って人格者だなぁ、、、とつくづく思ってしまった。

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井のなかのラインナップは、お薦めメニューが出てきていたり、本格的な天麩羅をやっていた職人さんが加わったりして、また面白い展開になっている。豚肉も、鹿熊さんのところの肉だけではなく、富士宮のさの萬さんの肉なども使い始めていて、変化があって面白い。

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阿部さんからの神の声。

「やまけんさんの写真、見せてもらいました。露出はきちんとしているので、あとはホワイトバランスですね。黄色がかぶっていたりするのが結構あるから、そこだけちゃんとするといいと思いますよ。ほら、ニコンのカメラだと、撮影後にカメラボディの中で色調整する機能があるから。」

と、ちょいちょいと撮影後の写真の色温度を調整してしまった。うーむ マニュアルみても実感が湧かない機能も、人がやっているのをみると目から鱗というのが多い。

あと、来年中に出るであろうと言われているペンタックスの中判デジタルカメラ、645Dについて、出たら買おうと思ってるんですという話をした。

「うーん 645Dもすごく佳いカメラになると思うけど、ヤマケンさんみたいにフィールドで機動的にぶん回すなら、ニコンのD3Xを買って、アオリができるPC-Eレンズのシリーズを揃えた方が幸せになると思うな。D3Xって、D3と同じボディですけど、中身は全く別物なんですよ。畑の写真を撮りたいなら、ぴったりです。」

うううううううううううううううううううううううううむ、そうなんですか!

また悩みが増えてしまった、、、

中判カメラが使いたい!というのは、撮像センサーのフォーマットが大きくなることによって、35mmサイズのカメラでは出せない圧倒的な解像感と大きなボケに期待しているのだけども、D3Xはそれを待つまでもなく佳い画質だということだ。んー 迷う。

そうこうしているうちに、阿部さんいろんなカメラを取り出して料理を撮影される。冒頭の写真で持っていらっしゃるのが、ニコンのコンパクトデジカメであるCoolpix S1000pjだ。噂の、液晶プロジェクターを内蔵したカメラである!

これも、正直言って「こんなの使うかよ~」と思っていたけど、撮ったはしから「ほら、こんなかんじ」とか、「昨日いった店はこれ」なんてプレゼンできるのがすごくいい! 欲しくなってしまった、、、

そして!

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阿部さんが構えているのが、、、リコーが先日発表した、超・話題のユニット交換型カメラであるGXRだ! レンズ交換ではなく、レンズと撮像センサーが一体となったユニットごと交換するというコンセプト。ゴミは入らないし、センサーとレンズの関係も理想を追求できる。阿部さん、テスターとしてリコーから貸与されているのである。

着いているレンズは50mmF2.5マクロ! 僕がよく使う焦点であり、F2.5という明るさであり、しかもマクロレンズである! 人物写真のサンプルを見る限り、コンパクトデジカメでは絶対に出し得ない高品質な絵を出していた。ボケも綺麗。それがこんな小ささで実現するとは、、、

僕も触らせてもらった。正直、飲食店の室内の暗さだと、AFは全くダメ。いったりきたりして、合わない。けど、マニュアルモードもあるので、それで合わせる。EVFを着ければバッチリだろう。写りは、背面液晶画面でしかみてないけど、素晴らしいの一言! これ、欲しいかも知れない、、、リコーは、GR-Dの初代機を買ったものの、28mmという画角が自分に合わなかったことと、ノイズがひどく載るのにがっかりして、使わなくなってしまった。以降、リコー機が出るたびに「ありゃダメだ」と思っていたけど、これは久々に欲しいと思うカメラだった。阿部さんも「これはいいよ!」と仰っている。

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いろんな料理が出てきたが、阿部さんもかなりの健啖家。そしてのんべえ。工藤ちゃんによる純米酒のお燗技にはすべて「う、旨い!」と声を上げておられた。よかったよかった、、、

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実は工藤ちゃんもニコンユーザー。というか、僕に「アニキが使ってるみたいな一眼レフカメラ買いたいんですけど、何がいいですか!?」というので、そりゃあ貴方、D90でしょ、と買わせたのである。

「重くてなかなか大変です」

というが、、、それは単に撮影する動機がないだけだよ工藤ちゃん。可愛い子供を撮りまくりなさい!

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本当に楽しい夜でした。Uさん、素晴らしい出会いの機会を創っていただいて、本当にありがとうございました!阿部さん、また呑みましょう!

 

そして数日後、中野サンプラザで行われた、ミスター・ニコンこと後藤哲朗さんの講演会に参加した。銀塩カメラ時代のニコンからデジタル時代のD3まで、第一線で開発に携わってきた中心人物だ(いや、だそうだというべきか。僕はコアなニコンマニアではなかったので、最近識ったのだ。)。

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120名限定のこの会、中古カメラ販売の聖地ともいえるフジヤカメラが主催した会だ。今年は、不朽の名機であるニコンFが誕生してから50周年だそうだ。それを祝して、フジヤカメラが独自に、単独で、自分たちでお金をかけて、ニコンフェアをやってきたという。その仕上げがこの講演会だそうだ。フジヤカメラは、相当なニコン愛の会社であるらしい。

そもそもニコンの銀塩カメラ史上、プロ向けではこれが最後となるだろうといわれたF6が出た際に、「すばらしき暴挙」とニコン開発陣を讃えた広告をフジヤカメラが出した。それに感動した後藤さんが、開発チームを連れてフジヤカメラを表敬訪問。その夜は盛大に呑んだそうだ。

なんか、カメラの世界って、本当に人情とかで繋がっているんだなぁ、と実感。銀塩カメラのよき時代をまったくしらない僕にとっては、ちょっとあこがれてしまう世界だ。

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この写真は、NASAが宇宙に持っていった仕様のニコンF。特別モデルを見せてもらった。むちゃくちゃな人だかりが出来て、遠巻きに撮影するに留まった。

そしてこれは、後藤さんが愛用しているニコンF。

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渋い、、、

でも、オリンパスOM-4を買ったものの(そういえばフジヤカメラで買った)、ポジフィルム2本分撮影して、現像とプリントに出したら5000円以上もしたので、「こりゃ無理だ!」とあきらめて売ってしまった(またもやフジヤカメラに売った。先日店頭チェックしたら、もう誰かが買ったらしい)。そんな僕には銀塩カメラの佳さは永遠にわからないと思う。

先日、ある雑誌の取材でご一緒したカメラマンさんは、銀塩派であった。

「銀塩カメラには、可視光線以外のものもちゃんと影響された絵が写っているわけですよ。けど、デジタルだと、目に見えるものとして認知されているものしか認識されない。記録されないわけですよ。それは、やっぱり絶対的な質が違うんです。」

と仰っていた。

僕にはその是非はわからない。銀塩はやれないからなぁ。でも、仰っている理屈はよーく理解できる。

農業に例えてみれば、有機肥料と化学肥料の関係だ。化学肥料は、科学的に植物に有用とわかっているものだけを合成して作られた肥料だ。しかし、自然界にはまだその効能がまったくわからない要素も多々ある。有機肥料はそうしたまだ効能がわからないものも一緒くたになっていることが多い。だから、結果として出てくる農産物の味には影響が出てくる(もちろん、場合によっては化学肥料で作った方が美味しいということもあるけどね)。そういう話だと理解している。

でも、写真は面白い。ぜひ可視光線以外も写せるデジタルカメラを切望したい。それよりまえに、もうちょっと軽いフルサイズ判のデジタル一眼レフカメラを出して欲しいとニコンには言いたい! 重いと萎えるよ。どうぞよろしくお願いいたします。