日曜日ですが仕事をしてました。 「薬は、本来からだがもつ自己治癒力を高めるもの」という日水製薬の考え方に共鳴した。そして、ホメオパシー論争に思うこと。

2010年9月 5日 from 日常つれづれ,首都圏

※最後の方、ちょっと文言修正しています。

はい、きょうも朝の11時~いま夜の8時まで仕事してました。日水製薬(日本水産つまりニッスイの関連会社)と、その製品である医薬品を扱う小売店(薬屋さん)の会の総会。ニッスイの社長さんと僕が講演をしました。

昔からこのブログ読んでるヒトならご存じの通り、僕はできるだけ薬を飲まないことにしている。例えば熱が出たら出るがままにしておけばいずれ下がるのだし、理由があって熱が出るのだろうから、出してしまった方がいいと思うからだ。ただもちろん、どうしても明日外せない重要な仕事があると言うようなときには抗生物質を飲んだりすることもある。数年に一度くらいね。そうするとガツッと効くので、それもまたよし。

そんな僕のところに製薬会社さんが「会員の前で話をして欲しい」と言われた。そのとき彼らが自分の会社の製品を持ってきてくれたのだけど、それをみて驚いた。漢方の牛黄をベースに使っているものや、豚の肝臓を加水分解したエキスなど、食品の仕事をしていれば「あ、こういうものをつかっているのね」と納得のいくものばかりだった。

実は、、、昨日(土曜日)も事務所で仕事していたのだけど、出張疲れでちょっと熱っぽく、頭が痛くだるくなってきた。これはやばい!明日は大事な講演だぞ、と思い、、、そのとき日水製薬の人たちが持ってきてくれた薬、「コンクレバン」と「日水清心丸」を服用した。コンクレバンというのは先の肝臓を加水分解したものをベースにしたもので、清心丸というのは漢方の牛黄や人参などの生薬をつかった丸薬で、なんと一粒3000円(!)するものだ。

これがですね、、、ばっちり効いたのですよ。朝起きたら、風の中をそよ風が吹いているかのごとき心地よさ。ビックリしたね。

その講演の冒頭に日水製薬の社長さんがおっしゃったのが表題の言葉。

「薬とは本来ひとの身体が持っている自己治癒力を高めるもの。」

そうですね。対症療法的に効かせるのではなく、身体が治そうとする力を助ける薬というものなら、僕も使いたいと思う。講演の後、参加された会員さんら(みな薬屋さんだ)と歓談させていただいたのだが、そのとき印象に残ったのは、みなさん薬のことというより、食事のことを指導しているようだ。

「脂汗が止まらないって言う人がいたんですけど、その人の症状と日頃の生活習慣を確認した上で、梅干しとご飯と味噌汁をきちんと摂ってください、と話したんです。きょとんとして帰って行ったけど、翌日の昼に「直った!」って連絡があったんですよ」

そんな話をたくさん聞いた。

「私の店でもね、センセ(僕のことだ)と同じような話をしてるんです。もし食事をきちんと作ることができるなら、いい素材といい調味料を使って、発酵食品をとりながら食事をしなさい。それが面倒でできないならば、はいコレとコレを買って飲みなさいっていうのよ(笑)」

うん、それは非常にいい売り方ですね。薬屋は西洋の対症療法的な薬しか売らないのかと思っていた僕にとっては、非常に勉強になりました。

以前いた会社では青果物を商っていたのだが、女性の後輩に真顔で問われたことがある。

「やまけんさん、なんで野菜って食べなければいけないんでしょうか?サプリメントではなくて生の野菜を摂るべき理由ってあるのかしら?」

答えに困りましたねぇ、、、 なんで?難しい。でもそれは、生の野菜に存在していないものがあるから、だろうねぇ。加熱して凝縮して錠剤化するプロセスで失われるものが、非常に多いからだろうねぇ。そして、現在の科学的な分析手法では決して見つけることのできないなんらかの要素や作用があって、それは生の状態からしか摂れないんじゃないだろうかねぇ。

でもいまなら確実に言えることがある。

それは、「食べることがすなわち医療につながっているのだから、サプリや薬を飲むよりも、日々の食事をきちんと摂ることで病気を予防した方が経済的じゃん」ということだ。

だからその分、よいものを食べましょう。少々高くてもきちんとしたプロセスで作られた調味料を摂り、生産過程でできるだけ化学合成したものを使わない素材を料理して食べるということにお金をかける。結果、生涯の人生コストは安く上がる。だから野菜を生で食べた方がいいんだよ、と今なら言う。

そして、、、ちょっと違う話になるけれど。僕はホメオパシーのレメディは愛用してますよ。今、ホメオパシーについていろいろと論争が始まっているけれども、ホメオパシーというひとつの民間医療の体系全体と、日本でいま問題になっているホメオパシーの一派を同一視してはいけないと思う。

昔、オウム真理教の事件が明るみに出てから、しばらくヨガをやっている人たちは肩身の狭い思いをした、ヨガ教室に行ってるというと白い目でみられたものだ。オウム=ヨガ団体ということは、ちまたのヨガ団体はすべて怪しい?という図式で見られていたわけだ。大学生の頃からヨガやってた僕も非常にきつい思いをしていた。

日本におけるホメオパシー論争も、いま同じような状況になろうとしているのが怖い。日本でホメオパシーを推進している人たちにもいくつかのグループがあり、アプローチはそれぞれ違うのだということを踏まえた上で議論をして欲しいと思う。

で、さまざまな学術組織がホメオパシーの医療効果を否定しているが、、、科学的に再現可能な医学効果がでるわけないじゃん。だから、ちょっと亜流な民間療法なんでしょ。それを否定するってことは、世界中で行われている膨大な「ちょっと亜流な民間療法」をすべて否定するということなのだろうか?それは乱暴じゃないの?全てが西洋近代医学のパラダイムのみで語られる医療の世界なんて、俺はいやだね。西洋近代医学は対症療法として優秀。でもそれだけじゃ全ての病気は治らない。だから、違う世界観に立脚した医療が存在する意義がある。

それだけのことだと思う。なんてことを考えさせられた一日だった。あー、今週は休みがなかったけど、大きな収穫があったなあ。

※ちなみに民間療法にも医学効果が認められているものがある。なので、医学効果が科学的に確認されていないか、議論が分かれているものについて「亜流な」という表現を使いました。