本格的にTPP推進への「民意の創作」が始まっているね。しかし恐ろしいのは、誰もTPPによって日本が享受できるモノゴトが何なのかを具体的に論じていないこと、ではないだろうか。

2011年10月13日 from 農政

昨朝の日経新聞の論説ページで、慶應義塾の教授が「TPPに参加することは、日本がこれまで世界経済の中で発展してきた借りを返す意味もある」というような論を展開していて、ちょっと見入ってしまった。いや、コーヒーを飲みながら記事をばーっと読んだだけだしきちんと覚えてはいないけど、意味のない「乗り遅れるな」論ではなくて、国際協調の観点からすればTPP参加が道徳的なのだという言い方であり、これにはちょっとマイッタ。

僕は倫理・道徳的な部分をつつかれると弱い。何せうちの両親の親世代からクリスチャンホーム(プロテスタント)で、子供の頃から「神は君をいつもみている!」と言われて育ったから、万引きなんかも恐ろしくてやったことがない。こういう論じ方で向かってこられるとうーんと思ってしまう。

けどね、そんなのやっぱ駄目。日本だけが倫理的・道徳的にと言ったって、そんな国を犠牲にしてまで倫理的であるような甘ちゃん国家がどこにある。大新聞やマスコミが、相も変わらずTPPを「農業対他産業」という、一般人からすればどうやっても「農業が引いた方がいい」となるような図式で話をしているのは、非常に気持ちが悪い。医療や労働、金融サービスの問題はなぜ目立った報じ方をしない?野田総理はなぜ群馬県の産地視察へ行く?

いや、そもそもTPPに参加して日本にはどういう幸せが待っているわけ?そこをズバリ、わかりやすく説明してくれた人って居ただろうか?

ということで、これまでも援用してきたけれども、硬派メディアであるザ・ジャーナルのTPPに関連した記事をいくつか提示しておきます。

■特集:TPPとは一体何物か?TPPの真相と深層
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/09/tpp_19.html

ここで山田さんが言っている「極端にいえば、日本は米国の51番目の州になりかねない問題」というのがぐぐっとくる。一昨日までハワイにいた訳だけども、ハワイも独立した王国だったのに、アメリカの州になってしまった経緯がある。そのことに対してはいろんな見方があるけれども、それをとても悔いている人もまた、多いだろうことを感じた。ニヒリストじゃないんだから抗い続けないとね。

そんなわけで、もうしばらくしたら札幌駅です。