高知県発・牛乳の革命が成った!「牛乳は、新しい方が美味しいに決まっています。」という勇気。ひまわり乳業の搾乳日がわかる牛乳が首都圏のダイエーで買えることになった!いま首都圏で最も旨い牛乳はこれだ!

2012年9月18日 from 出張,食材,首都圏

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このブログで何度もとりあげてきた、高知県の地元乳業メーカー「ひまわり乳業」。社長のブンさんこと吉澤文治郎さんとはとっても不思議な縁でつながっている。

出会いは10年以上前、愛媛大学准教授の野崎が、高知の実家に連れて行ってくれた時のこと。高知市内のクセのある飲み屋があつまる「55番街」に、まだ名店「バリムーン」があった時の話だ。「ここは面白い人が集まる店なんや」と入っていった怪しげな雰囲気の店内で、カウンターでブンさんが呑んでいた。のざけんとも既知だったようで、その時に名刺交換をしたのがお初だ。翌日だったろうか、地元のスーパーであるサニーマートでひまわり牛乳を飲んで感心した。低温殺菌の美味しい牛乳商品だったのだ。比較的小規模な乳業メーカーで、難易度の高い低温殺菌牛乳を出すところは少ないので、びっくりした。

その数年後、旅ものの連載をしていた週刊アスキーでチームを組んでいたカメラマン・八木澤さんがボソッと言うのだ。

「あのさぁやまけんちゃん、高知編やろうよ。俺の大学時代の親友がね、乳業会社の社長なんだよ。」

えっ 高知の乳業の会社ってブンさんのこと? えええええっ という不思議な縁でブンさんと再会。その辺の話は下記にも書いたとおりだ。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/10/post_1377.html

さて上のエントリでも書いてある「搾乳日がわかる牛乳」が、なんと大阪・愛知・そして東京に進出しているというのだ!ビックリした!とうとう首都圏デビュー!?

「そうなんですよぉ、実はあのダイエーさんがこの味に惚れこんでくれましてねぇ!首都圏に販売するための物流システムが構築できたんですよ!」

なんと!ダイエーでこの牛乳商品が取り扱いになったというのだ!それがこのパッケージ。

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この写真に写っている手前の1リットルと500ml商品の二つがダイエー向けの荷姿である。奥真ん中がひまわり乳業のオリジナルパッケージで、奥左の赤いパッケージは広島県のスーパー・ユアーズの商品。この三つの商品の中身は一緒のものである。

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この牛乳商品は、おそらく一般販売できる商品としては日本で最も鮮度が高い牛乳である。正直、パティシエさんとかカフェの人は、ダイエーでこの牛乳を買った方が安くて高品質な牛乳を手に入れられるんじゃないだろうか?

その商品化の流れは下記のような感じ。

■1日目(搾乳日)
各農家さんが朝から夜にかけて牛さん達から搾乳し、生乳をバルククーラーとよばれる冷却チョ乳庫に入れておく。

■2日目
タンクローリーが集乳するのが、だいたい午前2:00前後。
工場に到着するのが午前3:30。
低温殺菌処理を行うのが午前5:00
そして出荷が午前6:00!
高知市内の場合はうまくいけば二日目という超絶新鮮な牛乳を飲むことができる。

そして昼の12:00、大阪の物流センターに到着。ここでダイエーに向けた便にのせ替え。夕刻にダイエーの首都圏センターに着荷。

■3日目
各店頭に並ぶ!

すげぇ!これは本当に素晴らしい快挙である。というのは、これまでは物流システム上、ひまわり乳業のある高知県南国市から近い地域にしかデリバリーはできなかった。関東近県でこの商品を欲しいといっても、それほどの量がない場合はヤマト便などで送ることしかできず、送料が負担になっていたのだ。

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しかしダイエーは「絶対にこの商品を扱いたい!」と思ったのだろう、卸にそうとうに無理を言ってこの物流システムを実現させたらしい。

「もうね、奇跡ですよ奇跡。でも、この仕組みができたんで、高知からの商品を混載することができるようになるんです。いままで高知のええもんを売りたくても、宅配便で送るしかなかったことでうまくいかなかったケースがごまんとあるんです。これからはその問題が解決できる!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

これはすごい、、、実は高知県だけではなく、九州・四国地方の食品関連事業者が常に持っていた問題が物流システム。首都圏に早く安く運ぶ手段がなかったのだ。過去、いろんな取り組みがなされてきたが、、、

それをぶち破ったのはやはり、「魅力的な商品の力」だったのだ! 大きなパワーを持つ小売が「どうしてもこの商品を欲しい!」と望むことで実現したわけだ。ひまわり乳業、素晴らしい!

ちなみに牛乳事情を知らない人は「三日目に手元に届く牛乳って、そんなに新しいの?」と訝しげに思うことだろう。あまりいいたくないが、大手の乳業メーカーの場合、状況によっては1週間以上も貯乳したものがパックされることもある。というのは、大手の場合は取り扱う生乳の量も多く、どでかい貯乳タンクにタンクローリーからきた生乳を貯めておく。それらを商品ごとに殺菌して使う。とうぜんそれだけ貯乳していると、菌数が多くなる。したがって超高温殺菌(UHT)でないと商品化できないのである。

超高温殺菌と低温殺菌の成分の違いがどうこういわれ、論議になることが多いが、僕は成分がどうとかはあまり気にしない。それよりなにより超高温殺菌した牛乳は不味い!これにつきる。

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「え?そうなの?」と思う人、ぜひ首都圏のダイエーに行ってこの牛乳を買い、同じ棚に並んでいる大手メーカーのUHT牛乳を買って飲み比べをして欲しい。今回、ダイエーでは500mlパックもあるので、それほど負担にはならないだろう。

飲めばわかる。ぜんぜん味が違うから、、、

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ブンさん、偉い。そしてこの商品の成功は、地方の産地にひとつのテーゼを突きつけている。それは、

「圧倒的に魅力的でオンリーワンな商品を作り出すことからしか、物流システム改善はできない」

ということだ。物流システムに悩む産地の皆さん、結局そういうことだと思います。頑張りましょう!

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残念なことに我が家のまわりにはダイエーがないのだが、こんど遠征してこの牛乳を買いに行こうと思う。買った方、ぜひ感想を教えて下さい。