岩手県は金ヶ崎町のレストラン「サバービア」が作る金ヶ崎バーガーと、若手料理人による被災地炊きだしの可能性!

2011年6月16日 from 出張

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■撮影:パナソニックGH2+14-140mm

実は4月の被災地炊きだしの折りに、岩手県庁のサカタさんに「ぜひ連れて行きたい店が!」と言われて足を運んだ店がある。「サバービア」という、若手の及川シェフが始めた小粋で小さなレストラン。

 

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「実はこの金ヶ崎町の名物を作るというプロジェクトで、バーガーを作ってもらったんですよ!監修者はあのロレオール伊藤シェフです。及川さん、いろいろ研究して、すごく美味しいバーガーを作ってくれたんです!」

じゃあそれ是非食べさせて!ということでお願いした。それが、金ヶ崎バーガーだ。

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これ、実に考えられている。まずバンズは通常のパンではなくイングリッシュマフィンなのだが、地元産の米粉を50%使われ、レモンピールが練り込まれてしっとり焼き上げられている。そこにこれも地元産の卵を目玉焼きにし、これまた町内産のトマト、リーフレタスが具材となっている。主役のパテはなんと黒毛の奥州牛100%である!

「米粉パンは張りとしっとり感が持続せず大変なんですが、マフィンにするとしっとりもっちりした感じで、食感が持続します。レモンピールをいれることで、肉をさっぱり食べられるようにしました。パテは黒毛和牛なんですが、名物バーガーとしていろんなところで食べられるようにするには、できたて焼きたてでなくても美味しくないといけません。なので、冷蔵ケースで冷えた状態のを食べても美味しいと思えるパテを試行錯誤しました。」

という彼の言葉通り、このバーガー、冷えていても旨い!

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米粉ハーフのマフィン生地は、しっとりしていて食感がばさばさしない。グワッと一口大ぶりにかみつくと、ひんやりした食感が逆に心地よい。驚くことに、ばりばりの黒毛和牛である奥州牛のパテがいやな脂感がまったくない!これは、具材のトマトのジュースとリーフレタスのパリ感が相殺してくれているんだろう。マフィン生地に練り込んだレモンピールのさわやかな香りもそこに一役買っている。それに、味付けのマヨネーズソースが実に佳いのだ。

「ハニーマスタードマヨネーズソースをメインの味付けにしたんですけど、いかがでしょう?」

いいよぉ、とてもいい。トマトやデミグラスソース系だと冷やして旨くはならない。逆にマヨネーズは熱くても冷やしても美味しい。店で出すときは温かく、外ではひんやりしていても美味しいという技が利いている。

ちなみに彼の店ではデザート類もすべて手造り。もともとはスイーツ職人だったという彼の繊細さが生きた、美味しい焼き菓子がそろう。

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さて、実は彼に炊き出しの話をしたのだ。

「炊きだし、僕ら若手でも行きたいと思っている人間がたくさん居ます。けれども、個人で店をやっている連中はまったく余裕が無くて、営業を休むことができません。ほんとうはすぐにでも飛んでいきたいんですが、、、」

そこで、支援金の話をして「もしいくばくかの金額を預けたら、店を休んで行ってくれる?」と訊いた。

「え、そんなことができるんですか、、、もしそういうご支援をいただけるなら、若手を何人か募って行きます!」

という力強い言葉が。

ということで、このブログでお願いしている、炊き出しシェフへの支援金のなかから、とりあえず30万円を振り込んだ。そして彼が声をかけた数人の料理人が昨日、被災地へ炊き出しに行ってきたという速報があった。この内容はまた追って報告したいと思う。

被災地支援は、内容を変えながら息長く続けていく必要がある。若手が被災地に行ってどんなことを考えたのか、その辺も及川さんに訊いてみたいと思う。そして、岩手県を訪れる人は、ぜひ金ヶ崎町に寄ってこのバーガーを食べていただきたいと思う。実に、美味しいです。

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■サバービア
岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根南荒巻68-1
0197-44-4741