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2005年08月23日

鮒寿司は滋賀県の、そして日本の宝だ!

滋賀県のJAグループにトレーサビリティの講演に行った。JAグループで指導・政策の分野を担当する中央会の主催だ。初めて大津市に足を踏み入れることになった。

滋賀といえば僕の幼い頃、母方の叔母が滋賀に住んでいたので、琵琶湖産の稚鮎や川海老の佃煮をいつも送ってもらっていた。山椒の効いた佃煮は子供には刺激が強かった。毎年全くなんの感慨ももたずに食べていたが、今から思えばなんと贅沢だったことか!

で、今回は中央会の田村さんに、「とにかく鮒寿司食べたいです!」とお願いをしていたのだ。田村さんは嬉しそうに

「デパートでは売ってないヤツを用意しておきますよ」

と請け合ってくれた!

さて講演後移動したのは、農協のセンター近くにある料亭「文福(ぶんぶく)」だ。

ああやばい、ホンモノの料亭である。
農業関連の講演をしていると、かなり年上の方から「先生!」と呼ばれこうした格式の高い店に連れて行かれるのが非常に恐縮である。 、、、けど、十二分に楽しませてもらっているのだけどね!

さて座敷には仲居さんが二人ついてくれる。近江弁でなかなかに軽妙なトークを聴かせてくれたお二人である。

「今日はね、ここの女将にお願いして、鮒寿司を持ち込んでるんですわ。ちょうどいい大きさのが手に入りましてね、、、」

「はい、お持ちしましたぁ、、、」

ドドーン!

で、でかい!
僕の人生で一番でかい鮒寿司を見せてもらった、、、

いうまでもなく鮒寿司は日本を代表する発酵食品である。淡水魚であるフナに塩をし、飯(いい)と交互に並べて乳酸発酵させる。敬愛する東京農大の小泉先生も目を細める、日本文化の一つの粋がここにあるのだ!

皿の上にある時点で、すでに酒と酢のような発酵香が漂いまくっている!

「これ一匹全部食べてもらってもイイですよ!」

いやぁ最高である。フナの腹にはいったオレンジの卵がなんとも食欲をそそる、堪らない色である!

口に運ぶと、強烈な発酵香が粒子の実体となって鼻孔内の細胞を刺激する!
しかしそれは断じて「香り」であって「匂い」ではない。すばらしくかぐわしい香りなのだ。
そして口中に収めて噛みしめると、強い香りとは全く想像もつかない上品な酸味と、小骨をコリッとかみ砕いた後にじんわりと舌の上に拡がる濃い旨味成分が染み出てくるのだ。

いやこれは乙なものである!
綺麗な要素ばかりではなく、淡水魚由来の湖底の泥の香りが少しだけ漂うが、それがまたアクセントになって旨いのだ!

同じような発酵食品である、和歌山のなれ鮨とは全く違うジャンルの味と香りである。和歌山のなれ鮨は鯖を使った棒ずしを、アセという葉で包んで深く発酵させるものだ。過去、ぼくはその深なれ寿司を7種食べ比べたことがある。

■和歌山が世界に誇る発酵食品 「なれ寿司」7種を食べ比べた県外人は俺ぐらいだろう。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/02/7.html

この時も強烈な体験をしたが、やはり海の魚のダイナミックな強さを感じた。そして今回の鮒寿司には、パワフルだけどもっと繊細な味わいを感じるのだ。

さて文福の料亭料理も美味しくいただいた。出された中でしみじみ旨かったのは、この辺の川魚であるゴリの佃煮だ。

洗練されていない洗練というのだろうか。川の香りを存分に残したしみじみとした一皿だった。

そこに運ばれてきたのが、鮒寿司の吸い物だ。これは農協の方が「仲居さん、この鮒寿司の頭の部分をお湯でチャッと吸い物にしてくれるか」という一言でつくられたものだ。ダシではなく本当にお湯を注いだだけ、という呈である。

一口すすると、、、
ビックリするほどの強い旨味だ!
強い酸味は和らげられ、加熱によって骨身から純粋な旨味成分が溶け出し、なんのダシも使わずに素晴らしい味わいが染み出てくるのだ!
これにはビックリした!いままで頂いてきた吸い物の中でも、最もシンプルで最も味わい深い一品だと言える。

「当店自慢の鯖寿司をどうぞ。」

と、これで締めである。

なれ鮨ではない、見事な鯖を押し寿司にしたものだが、これも抑制された酸味、落ち着いた甘みのシャリと分厚い鯖の身がマッチして旨い!

特製の手ぬぐいもいただき、大満足である。

発酵食品は数あれども、魚という、とにかく腐りやすいしろものを乳酸発酵させるというパワフルな料理法はこの日本でも独特のものである。琵琶湖ではもう原料フナは捕れないらしい。今日の鮒寿司も、韓国産のフナを使っているらしい。残念なことだ。僕が幼い頃に食べていた稚鮎の佃煮も、もう食べられない。食べない釣りもいいかもしれないが、僕は食べられる魚をきちんと残して欲しいと思う。琵琶湖で育ったフナの鮒寿司が、また食べられる日が来ることを祈る。

お土産はこの鮒寿司2匹分!我が家の冷凍庫にて、然るべきタイミングを待っているのである、、、

Posted by yamaken at 2005年08月23日 08:18 | TrackBack
Comments

ごぶさたしてます。お元気そうで何よりです。
私も、お盆の期間滋賀に帰省してました。
鮒寿司は食べなかったけど、
鱒の炊いたの(これは祖母が作ります、絶品)や、ごりの醤油炊きなどはさんざん食べました。
食べると田舎に帰ったなぁと思うわけで、とてもうまいです。
湖北と大津ではおなじ「ごり」でもちょっと違うようですね。たぶん試みなのだろうとは思いますが、鮎のなれ寿司や鱒のなれ寿司も、私の田舎のほうではあるようでした。

Posted by: ゆるぎ at 2005年08月23日 11:13

ふな寿司堪能されようですね。

以下、7月26日の一報に付けたコメントを再アップします。

実家のある湖北、長浜市に帰省するといつも老母に仕入れてもらい味わっています。

店で買おうと思うとけっこう高価になってしまったふな寿司ですが、朝市などで近隣のおばさんが自家製のものをならべているようです。

ふな寿司をつける作業というのは時間と手間がとてもかかるもので、重石の積み下ろし、水の入れ替えと重労働でもあり、これらがおばさんから次の世代にうまく受け継がれていくのかどうか愛好家のひとりとして気になるところではあります。

ところで、地味ですが、琵琶湖で朝水揚げされたばかりの子(小かな?)鮎を粒山椒と一緒に飴煮したもの、小エビを大豆と一緒に煮たもの(えび豆というストレートな名前で呼ばれています)もなかなかの味わいです。ぜひ一度試してみてください。

ここまでが、前回のコメント、でも小さい頃からこれらの佃煮をご存知だったようですね。
今回「稚鮎の佃煮も、もう食べられない」とありましたが意味がわかりませんでした。
田舎の母から年に何度か送ってきてくれるのを毎回楽しみに賞味していますよ。

Posted by: いち at 2005年08月23日 18:06

すごい鮒寿司でびっくり。竹鶴の方々も卒倒されるでしょうなあ。
「にごろぶな」は、激減して絶滅しかけでしょうけども、まだ生息はしているようですよ。今森光彦さんの本にもそう書いてあります。ただ、庶民の口に入るほど、産業として成り立つほどの数はいないんでしょうね。去年ご主人が亡くなられた「魚治」のメニューには似五郎鮒の鮒寿し、載っています。
知り合いがブラックバスなどの外来魚に関する条例を制定すべく動きまわっていたのを思い出します。

Posted by: いけじま at 2005年08月23日 19:54

うぅわあぁぁぁ~~~っ!!!!

おいしそう!!!

今度滋賀に帰省したら行ってみよう♪(^p^)

Posted by: よね at 2005年08月24日 18:33
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