年末といえば、ではなく年始といえばかぶら寿司!

2006年12月22日 from 食材

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※トラックバックで、「石川では年末より年始の食べ物」というご指摘あり。そうだよねん。ということでタイトル変えました!

※カブの呼称(「東洋種」という言い方について修正しました。
冬の北陸(石川、富山)の名物といえば、かぶら寿司だ。
今年も、石川県の生産者団体である六星(ろくせい)のタケ&ナオから、農家特製のかぶら寿司を送ってもらった。
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■かぶら寿司と六星とタケ&ナオ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/01/post_708.html

タケとナオは、上記過去ログにも書いたとおり、東京農大を卒業してからカップルで石川の農業法人である六星に就職し、日々農業生産および営業にいそしむ若者達だ。彼らの紡ぎ出すブログは昨年度に実施した就農塾の一環として書いて貰っているものだが、非農家出身の若者が、プロ農家に変容していくのを克明に観ることが出来る、貴重な資料だともいえるのだ。

個人的にはタケ&ナオの喧嘩とか不仲とかが書かれると一層、盛り上がるのでは?などと乱暴な期待をしていたのだが、二人の仲は極めて順調のようだ。

■僕らの農業就職日記
http://blog.shunoujuku.jp/

さて
前のエントリにも書いたが、かぶら寿司の味の要素は極めて複雑だ。
近江から北陸に渡ったと思われる大きな蕪(かぶ)の味と麹(こうじ)、発酵促進剤と思われる大根とニンジン、そしてバンズ状の蕪にはさむブリの身と、味の決め手が複雑に交錯し、そして醗酵というプロセスを経て全てが融合する。
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いろんなかぶら寿司を食べたけど、六星のそれは蕪の味が非常に濃い。さすがは農業生産者団体である。

蕪はアブラナ科アブラナ属の植物だ。大根とは種が違うが、類似点が多く、全国各地に地もののカブ品種が点在している。これからの寒い時期に京都で名物となる「すぐき」もカブである

ちなみにカブには二種類あって、和種系と西洋系に分かれている。和種系は、以前は東洋系と称されていて、アフガニスタン原産とされていたらしいが、現在は日本独特の種ではないかとされているらしい。そして西洋系は地中海沿岸のヨーロッパが原産と言われている。日本には昔、この両方が存在し、地域によってそれが絶妙にミックスされたりして、色んな品種が生まれたらしい。その品種系統を大きく分ける「かぶらライン」というものがあって、愛知と岐阜、福井を結ぶ縦のラインで東西に分かれているという。寒い東日本には耐寒性のある西洋系のカブが根付き、暖かい西日本には和種系のカブが根付いたということらしい。しかし今日、小カブについては全国的に作り易い西洋品種が主流になりつつある状況だ。

大学生の頃、自分の畑で小カブを植えた。品種名は忘れてしまったが、堆肥だけを入れて越冬させたその小カブは、玉の大きさはどうにかMサイズというくらいのものだったが、生のままで洗って囓るとビックリするほどの甘さとジューシーさを感じ、そして大根より少なく含有するイソチオシアネートの、ほのかにツンと来る刺激が鼻に抜けるという極上のものだった。

化学肥料で栽培した一般流通品のカブを食べても、まったくこのような感動はない。カブは有機肥料で栽培したものに限る。

タケ&ナオ、ごちそうさまでした!