馬肉と蕎麦とアグー 久々に都内食い倒れ三連戦で、野生の勘を取り戻す!

2007年5月29日 from 首都圏


超・久々に市岡さんと会ったのだ。
市岡さんは、前の会社時代に、ある業者さんに「面白い人がいるから!絶対に会っておいて損はないから!」と言われて引き合わせて貰った人だ。キノコ(菌茸類)の生産・流通をしていて、それも有機・特別栽培といえる茸栽培を専門としているという、極めてニッチで特殊な世界の人だった。

初めて会って驚いたのは、物腰の柔らかさだ。有機・特栽関連の世界では、とにかくアクの強い人が多い(笑)

そう書くと、関係している人はみんな笑うだろう。
やっぱりこのこだわり農産物・加工品の世界はタフな時代をくぐり抜けてきているため、そこで活躍している人たちは一癖も二癖もある人が多いのだ。

しかし市岡さんからはそうしたアクが漂ってこない。柔らかく、柔らかく、しかし芯がきっちりと定まった人だなという印象を受けていたのだ。

その市岡さんとも、独立前から疎遠になっていたのだが、先日、物流センターを建てたというお話をきき、久々に繋がることができ、「呑もう!」ということになったんである。嬉しい!


市岡さんの本拠地が神奈川県の伊勢原、そして同じく市岡さんと仲良くしている漬物べにふじの石川さんが町田なので、僕が町田に出向くことになった。

「じゃあね、ちょっと雰囲気のある店に行きましょう!大衆居酒屋って感じなんですけど、料理は旨いです。馬肉中心なんですけどね」

ほおおおおおおお
それは面白い! とセレクトを石川さんに任せ、町田へと向かったのだ。


桜肉 柿島屋 (←”かきじまや”と呼ぶらしい)
町田市原町田6-19-9 アーバン柿島2
042-722-3532 

大衆居酒屋というより割烹という感じの外見だが、16:30に入店するともうすでに出来上がったおっちゃん達多数である。

「早い時間にいかないとすぐに並んじゃうんですよ、、、ほんとにもう、この人なにやってんだろう、って感じのオッサンが一人で飲んだくれたりしてるんです(笑)」

しかし品書きが非常に素晴らしい。料理もさることながら飲み物が潔く大衆居酒屋である。
冒頭の白黒写真を再掲するが、市岡氏のバックにある品書き、実に渋い。
ちょうど氏の頭の上から左にかけて、木札になるので読みにくいが、

「泡盛」
「ブドー割」
「梅割」
「清酒一級」
「清酒二級」
「ビール」

というように並んでいる。ビールがやたらと高い!
ここではもう梅割+コダマソーダの組み合わせに限るのである!

オーダー、いやカタカナはいかんな、注文すると、梅シロップの入ったコップと甲類焼酎の入った瓶、そしてコダマソーダの栓を抜いたのが運ばれてくる。焼酎ドボッ シロップどばっ ソーダしゅわしゅわと割り、臨戦態勢である。甲類焼酎の思考能力を破壊するパワーはもの凄いので、日頃は絶対に呑まないことにしているのだが、、、こういう組み合わせだと呑まざるを得ない。今日は久々に酔うことに決めた!

■肉皿

ここでの肉は桜肉、つまり馬肉である。
いきなり俺が唯一食べられないコンニャクがどかんと乗っているけど、この肉皿はなかなか滋味溢れる旨いものだった。煮込まれた馬肉でも、最初から臭みが強いものはどうしようもないことがあるが、ここの肉は全くそんな嫌みを感じない。ホロリと崩れて繊維質が綺麗にほぐれる美味しい馬肉煮込みだった。

■馬刺し

おお!
つい先日堪能した、熊本における馬刺しとは全く違う、江戸前風赤身肉の馬刺しである。
そう言うと、仲居のオネエサンが「関西と関東はぜんぜん好みが違うからねぇ。うちでは、赤身じゃないとお客さんが喜ばないのよ」と仰る。そうなのね!
赤身中心のこの馬刺し、鮮度も十分よく、これまた臭みナシ。スジも無し。ただただ赤身の旨さを味わうことができるなかなかのものだ。

■チョリソ

馬のスパイシーソーセージという手合いだが、まあこれは期待以上のものではなかった。普通に美味しいけど、感動とまでは行かない。しかし、馬肉で本当にすべての料理を作っているような感じで、とことんやってやるヨという迫力が伺えるメニューである。

こんな感じで、話しに興じながらも一品一品を味わい堪能していたんであった。

市岡さんは物流の方に力を入れつつ、相変わらず面白いキノコ製品を世に問おうとしていた。

「これ観てください、、、」

と出たのが、キノコで作ったキムチである。
べにふじの石川さん、まずそのパッケージを裏側にひっくり返し、一括表示部に目を通す。一瞬おいて、
「こりゃすごい!」という声が出た。合成色素、ソルビン酸、pH調整剤等が一切使われていない!蛋白加水分解物も使われていない。表示に並んでいるのは天然素材ばかりである。

「もし商売が厳しくなったとしても、自分の意に沿わないものを作るわけにはいきませんから。」

という市岡さん、やっぱり凄くしなやかで、かつ強靱な芯が通っている方だと再認識したのである。

さてこの店自慢の一つ、肉鍋が運ばれてくる。


味噌仕立ての桜鍋なわけだが、味の傾向が森下の「みの家」とは全然違って、あっさりめの汁っぽい仕立てだった。

沸騰し始めると仲居さんが駆け寄ってきて、「肉に火が通り過ぎちゃうから、肉を上の方に寄せて!それで、食べるときに沸いてるところでしゃぶしゃぶして食べてね!」ということだ。

しかし僕は、レア気味にしゃぶしゃぶして食べる馬肉よりも、しっかり火を通して味噌風味のついた馬肉の方が好ましく思った。火が通った方が個性を発揮する肉もあるのだと思う。この後、肉を二人前追加。

そしてこの日いちばんの収穫はこいつだ。

■メンチカツ(もちろん馬肉)

このメンチ、割って口に放ると、ほのかにごま油の香りが立つ。
「うん、すこうし使ってるのよ」と仲居さんが言う。

芥子を付けて、ソースをじゃばじゃばかけ、かぶりつく。ジュワンと染み出てくる肉汁が気持ちよく舌を灼く。ついつい甲類焼酎を呷るペースが速くなる。結局3杯呑んで、脳みそがじんわりと溶け出してきた。

農産物業界は朝が早い。19時になるころ、お開きにすることとした。
しかし、柿島屋を出てすぐ隣に、なんとラーメン「一蘭」があるではないか。
この店のグルタミン酸ソーダが多量に含まれて居るであろうラーメンスープは、でもしかし甲類焼酎の酔い加減とマッチしてしまっている。身体がグルソーを求めてうずくのダ!

「仕上げに行きましょう!」

と入り、4辛+替玉をすすりこんだのである。

もう酔っぱらって判断力も鈍くなりながら駅にてお別れ。しかしこの日はそれで終わらなかった。

「やまけんちゃん、どこいるの?」

と連絡してきたのは、しばらく前にブログを紹介した、有機農業界の重鎮・徳江さんである。

「東京に戻ってくるなら、呑もうよ」

今日はもうなんでもオーライです。行きます。
小田急線で深い眠りにつき、新宿で降り、都営新宿線・丸ノ内線つたいで銀座へ。目指すは歌舞伎座の裏手にある隠れ家風の蕎麦屋「東風庵(こちあん)」である。

実はこの店、徳江さんが率いるFTPSという会社が、その素材をかなり納入しているのである。

あれっなんだか徳江さん、疲れた顔で映ってしまったが、これは何かの拍子の産物である。ご本人は至ってご健勝。

この日の東風庵は、つまみも酒も非常に旨かった!
金沢の福光屋の「黒帯」、「加賀鳶」を呑みながら、板わさ、梅山豚(メイシャントン)のロースト、陸前高田の八木澤商店の漬物、豆アジなどを堪能する。

いまや一大ブランドとなった梅山豚は、本家である塚原さんのところからきちんと来ている肉である。


〆の蕎麦は、、、
暖かい煮汁でたべる梅山豚蕎麦と二色せいろ。よく考えたら二回目の夕食なんだが、、、

梅山豚蕎麦は、スープは旨いが、油分で舌がマスキングされてしまい、蕎麦の香りは吹っ飛ぶ。
どちらかといえば、腰の強いうどんで食べた方が旨いかも知れないなぁ、いや蕎麦でも旨いが、なんとなくもったいないのである。

二色せいろは、これまでになく辛づゆとバランスのとれたものだった。
東風庵には数回訪れているのだけど、士幌産のそば粉が出回り時期の際に食べて、今ひとつ香りと味と食感のバランスがとれていないと感じていた。しかし今回の粉(酔っぱらってて産地を忘れましたが)は、ここの特徴的な辛づゆとマッチしていて、鰹の香りがブワンと扇風機のごとくあおり立てるのにギシッとストロングに対抗ることができる味わいだった。

いやしかし
もう食えん、、、

「お前、そういう食い方してると死んじゃうぞ」

と徳江さんはことある毎に言ってくれるのだけど、僕もこんなの久しぶりです。ご安心ください、、、

徳江さんと別れ、日本橋まで歩いて腹ごなしをと思うが、ルートはどうせならと東京バルバリの前の道をいく。途中、軽自動車が一時停止を無視しながら左折、僕が見えないようでミラーがゴンと僕の右腕を痛打する。このやろう、と運転席を睨むが、なんだかぶつぶつと運転席でつぶやきながら停まることなく去っていった。いったいどうなっているのだ。

むしゃくしゃした気分は、東京バルバリの店前でテッペイと会ったら消え去った。

「お茶でも飲んでって下さい!」

ああ、是非お願い、、、
もう閉店間際で、客も帰っていて、上がり寸前。ご迷惑ではないだろうと、座らせて貰う。
しかし隣席の青年が、ランランと光る眼で僕を観ている、、、

「ブログ、読んでます!」


21歳学生。好青年であった。
結果、どういうわけか、沖縄、今帰仁のアグーの煮込みをいただくことになった、、、

もうこうなったらヤケである。

アグーはコッテリ煮付けても、脂が強いのでそれほど肉に塩分が浸透しない。
だから強めの味付けで煮込むのが吉だと思う。この煮込みも、ずいぶん濃くみえるけど、そんなにキツイ塩分ではない、ほどよいものだった。

いやー
もう食えません。

このブログを初めて1400記事を超えているが、2003年時点のような激しい食い倒れカロリーオーバー体制はきつくなってきた、と思っていた。

しかし!

やればできるもんだ。久しぶりに自分の中の野生の匂いを嗅いだ気がする。
そのトリガーを引いたのは、やっぱり甲類焼酎ではないかと思う。

長い夜であった、、、