納豆野郎どもの熱い戦いと取り組みを観た!

2008年10月17日 from 首都圏

PA122959 「ぜんのう」といえば、僕ら青果物の関係者の世界では全国農業協同組合連合会の略称だけど、世の中には他にも「ぜんのう」がある。

「全国納豆協同組合連合会」 である。そう、納豆の生産メーカーが集まる組合だ。ここ数ヶ月、納豆のドアップ写真を載せたりしているのは、そこに講師として出講を依頼され、「ギャラはあまり出せないから、各社の納豆1年分で」ということで受けたからなのだ。

その全納連の青年同友会のイベントが開催された。講演に先立ち、まずは集まったメーカーから出品された、45種程度の納豆の品評会である。
P9248827 P9248822 会場内にズラリ並んだ納豆たち。こいつを一粒ずつ食べて、5段階で鑑定していくということである。うーむ素敵!絶対このイベントに参加させてくれ!とお願いして、早めに会場入りしたのである。

P9248837 公式な納豆のテイスティングは初めてだが、メーカーの人達がどのように評価しているのかをじっくり見ていると実に面白い。ある人は糸をツーッと箸で引いて、どんな太さか、滑らかに伸びるかなどを観ているようだった。ある人はガバッと、なんのてらいもなく口に運んでいる。

40種以上というのは結構大変なようだけど、僕はとても楽しくテイスティングした。だって、一つ一つまったく味が違うんだもん!楽しくてしょうがない。

しかしそれにしても感じたのは、やっぱり味を考えると大粒の納豆が段違いに旨いということだ。ご飯に載せてザバザバとかっ込むことを念頭におけば、小粒の納豆が食べやすい。けど、一粒一粒をきちんと味わってみると、小粒のものは味気ない。やはり肥大するということには意味があるのだ、と思った。

僕の講演後に行われた、ベスト5の発表では、過去ぼくがここに掲載した(つまり送ってくれた)メーカーさんがズラリと並んだ。サスガである!

その中でも特に僕が旨いと思ったのは、千葉県館山市にある小さなメーカー、「あづま食品」(〒294-0034 千葉県館山市沼1411)が作る「小糸在来」という納豆だ。

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小糸在来というのは、大豆の品種。この日知り合った大豆卸の方がいうには、「小糸在来は最強の納豆用豆ですよ!」ということだった。果たして、僕のテイスティング評価でもナンバーワン。なんともたおやかに上品。

懇親会で「旨かった!」と声をかけたら、後日事務所に段ボールで届いてしまった(笑)。しかも時同じくして、新潟の大力納豆さんからも詰め合わせが! ひえええ 納豆長者である。
PA122955 上が、鶴の子大豆という、これまた大粒で美味しい品種を使った、大力納豆の「吟選 つるの子」。都内では、たしか恵比寿三越で注文対応で、一箱400円程度である。

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このグレードの納豆には、タレなど使わずに塩で食べるのが最も特徴がわかる。もちろん食塩じゃなくて、旨い塩がいいと思う。間違ってもかっ込んだりせずに、一粒ずつ噛みしめ、味わい、嚥下する。ああ、豆とはこんな味だったか、納豆菌の働きにて生じたうま味はこんなにも濃いのか、と感動できるはずだ。

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そしてあづま食品の小糸在来。やはり、素晴らしく美味しい。大力納豆のつるの子とは、豆の蒸し加減が少し違うのだろう。小糸在来のほうが柔らかい。しかしふっくらとしていて、舌先で強く歯の裏に押せば潰れる柔らかさ。そして、美しいとしかいいようのない、クリアで綺麗な豆の旨さ、納豆のアミノ酸がじわりとにじんでくるのだ。

この小糸在来がどこで買えるのかわからないが、これはマジで旨い。あづま食品さんに連絡をして買い求めたい人もいるだろうが、納豆屋さんは通常は卸売しかしない。「3パック送って」などという小口はメーカーにとって迷惑だと思う。最低でも段ボール箱入りで買って、皆で分けるという風にして欲しい。そうしたって、安い買い物だ。以前ぼくが、富良野の富士食品でやった失敗を踏まぬようにして欲しい。

ちなみに今、確認したら、50gの小糸在来納豆2個パックが12個入りの段ボールでの宅配は、やっているそうだ。ただし、千葉県君津市の生産者がつくる小糸在来大豆がもうそろそろ無くなるそうで、新豆が出てくる来年初頭まではあまり出荷できないとのことだった。

ところで、講演後に行われた全納連の青年同友会の懇親会は、みんなが弾けまくる大宴会だった。
P9248852 P9248856 P9248857 これだけパワーのある人が集まっていたら、この業界も心配要らないな。
楽しいひとときをありがとうございました!