宮崎県に来ています。困っているのは畜産だけではない。観光・飲食・物販全てが落ち込んでいる。「口蹄疫は国を滅ぼす」という言葉は、色んな意味で真実だ。

2010年6月 2日 from 口蹄疫を考える

■観光・飲食・物販すべてがストップしている

「これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。それを越すと台風が来る。」宮崎空港をおりると、物々しい雰囲気。そうか、総理が来るんだったっけ。僕が空港から車で市内へ移動する最中、おそらくあれが首相が乗っている便であろう飛行機が着陸態勢に入っていた。

「県の人間はいま口蹄疫対策で人員も足りずしっちゃかめっちゃかなのに、総理が来るとまたその警護やらなにやらで大変なんですけどね」

と迎えに来てくれたKさん。いま、宮崎県で深刻なのは、畜産農家以外の宮崎経済への打撃だそうだ。例えば観光関連でホテル宿泊は8割減だそうだ。あるホテルなど2ヶ月先までの1000件くらいの予約がキャンセルになったらしい。大きなコンベンションなどは軒並み中止で、運動会などのイベントも取りやめ。だから、それに伴うお弁当や物販もすべてキャンセル。橘通りを歩いても、如実に人が少なくなっていることがわかる。

「宮崎県庁の広報がらみの部署はいま大変です。なにかというと、全国から『宮崎県は何をやってるんだ!』というクレームの電話が殺到しているんです。その対応でおおわらわですよ。」

うーん 気持ちはわかるが、、、県の職員も農協などもみな、一人でも現場対応に送り出さなければならない状況なのだから、クレーム電話なんて無駄なことは辞めていただきたいものだ。この事象は、まだ起こっていないどこの他都道府県でも起こりうる話なのだから。まだ口蹄疫が発生していないみんな、運がいいだけなんですよ。

宮崎県がいまいろんな体験をしているが、しかるべき時期にきちんと頭から検証し直して、マニュアル化しなければならないというのは本当だ。しかしもちろん、その時期は今ではない。

 

■「水が出る」ということ

雨が降っている。不快指数が上がっている。先に書いた尾崎畜産の尾崎社長の言葉で、重大な見落としをしていた。後編の冒頭にこんな言葉がある。

「これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。それを越すと台風が来る。」

実はここに、もう一文、重要な言葉が入っていた。

「これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い。梅雨で雨が降る。水が出る。それを越すと台風が来る。」

赤字で示したように「水が出る」という一言があったのだ。けれども、それよくわからんなぁ、きっと雨が降ってそれが溜まるとかいう意味だろうな、と流してしまっていた。実は、宮崎の広い範囲でそうらしいのだが、梅雨の季節に地面を掘ると、水がジュクジュクと滲みだしてくるらしい。それがいちじるしく土木などの作業性を損なうらしく、そのことを尾崎さんは言っていたのだ!

 

■お酢について

先日僕が尾崎さんに会うときにしていたマスクの対応、お酢の殺菌について、福岡県のTさんより注意があった。それは、目や鼻の粘膜にもウイルスは付着するよ、ということ。つまりマスク&お酢の希釈液での殺菌も、効果の限りがあるのだから過信してはいけないと言うことだ。うんそうだろう、僕も、耳の穴とかは洗えないもんなぁ、と思ってはいた。だから防疫にあたるひとたちは防護服を着たり、耳まで隠せるキャップをかぶって、素肌の露出を極力抑えているわけだ。

ただし東京のど真ん中でさすがにそれをしながらスターバックスに入るのは難しい。できる限りのことしかできなかったことは事実です。先日のエントリでは、今後、口蹄疫にみまわれている当事者と会うことがある人への参考になればと思って、大策先生のアドバイスについて書いたけれども、あれですべてOKという考え方はしないでいただきたい。本当はやはり、防護服なんだろうなぁ。

 

■先日の「冷凍コンテナ」について

また尾崎さんがいう「冷凍コンテナが必要」の話しに対しても、こういう意見が寄せられた。

ウイルスは宿主が死んだら、急速に体内のPHが代わり、それによって死滅する(ただし埋設は不可欠)。けれども冷凍してしまうと、PHが保たれてしまうのでウイルスの不活性かは無理ではないでしょうか?ウイルスの不活性化が確認されないうちは、「とっとと冷凍」という発想はいけないと思います。

http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/FMD/japan/murakami.html

表5.口蹄疫ウイルスの生存期間(1) という表の上の文章あたりになりますかね。
冷凍すれば、ウイルスの生存期間が長くなるのですよ。その後の取り扱いも難しくなります。やっと埋設が本格化するようですが・・まずは患畜殺処分後、直ちに冷凍、というのはこの場合、保管を厳重にしないと問題だと思います。

なるほど、冷凍することによってウイルスは保持されてしまうらしい。であれば、子豚の亡骸を冷凍コンテナに移す場合、ウイルスが死滅する十分な期間をおいてからでないと意味がなさそうだ。ただその期間は上の表を見る限り1~3日なので、腐敗するギリギリのところで冷凍に移すことができるかもしれない。 貴重なご意見ありがとうございました。

 

これから仕事に出て、午後に宮崎を発ちます。こちらは雨が酷い。作業に出ておられる方々のつらさを思うと、やりきれない。