宮崎からライチ来たる 南国果物が穫れるようになった日本を喜んで佳いのか複雑だ。

2010年8月11日 from 食材

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宮崎の弟分・沼口から、宮崎県産ライチが送られてきた。

ここしばらく銀座の高級店ではけっこう使われてきた食材だ。ライチ(樹の名前はレイシ)は熱帯作物だから、ほんとうは日本の素のままの気候では結実しないが、マンゴーと同じハウス栽培でできるものだ。

輸入ライチを食べた後の種を鉢の土に埋めておくと、条件がよいと発芽することがある。しかし関東では越冬させることは難しい。農家さんにお願いしてハウスに入れておくと、越冬できる可能性が高まる。

ライチの芽にはすこし思い出がある。大学時代に僕がやっていた畑サークルの後輩が、卒業を目前にして急逝したのだ。身近な人間それも20才そこそこの元気な盛りの男子が無くなったというのがよく飲み込めなかった。当時激務だったため出張をこなして、葬式なども終わった後に位牌に手をあわせに伺った。その時ぽつりとお母さんが「あの子が芽を出したライチの鉢があるんです」と言う。そう、なんだかライチの種が発芽した!と騒いでいたのだ。それがちゃんと生きているという。同期生の後輩がそれを譲り受け、畑を貸してくださっていた農家さんのハウスに入れてもらった。一鉢はダメになったが、もう一鉢はぐんぐん大きくなった。今どうなっているだろう、急に思い出してしまった。あとで連絡してきいてみることにしよう。

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宮崎産のライチもなかなかの美味しさだ。ジューシーでえもいわれぬ気持ちよい食感。なにより「生」である。価格はまだ高いだろうが、貴重なものをいただいた。

それにしても
日本でこんなふうに亜熱帯果実が穫れるのは佳いことなんだろうか、と思ってしまう。気候変動によてどんどん産地が北上している。つまり南から、暖かくなっている。結果、いままで「このへんはブドウの名産地なんだよ」というところがそうでなくなる。

すでに山形県のサクランボ農家が数軒、北海道の豪雪地帯である富良野に土地を買って植樹を始めている。僕はその土地をみたことがある。ああ、わかっている農家はもう、産地移動を始めているのだな、と戦慄したものだ。

九州・四国の暖地では、米の一等米比率が非常に悪化している。メイン品種であるヒノヒカリでは規格外米になるのが半分以上という産地もあるようだ。山梨県では巨峰に色がつかなかったり、味がぼけるというケースが増えているらしい。温暖化は来ていないという人がいるらしいけれども、そりゃどうなのかね?

そういう複雑な思いをもちながら、甘やかなライチの香りを楽しんだ。ごちそうさま!