じゃがいもの季節、フライドポテトの季節がやってくる!

2005年9月13日 from 食材

トヨシロとメークの画像が入れ替わっていました。元気さん、ご指摘ありがとうございました!
北海道の十勝にある更別町より、堀立てのジャガイモがやってきた。送ってくれたのは、読者でもあり、昨年はこのWeb上でジャガイモ販売もやった十勝やっちだ。

「今年の馬鈴薯もいい出来ですよ! トヨシロ、メークイン、サヤカを入れておきますね!」

と、段ボールにゴロゴロと芋が送られてきた。ちなみに農業で作物として扱い祭には「馬鈴薯(ばれいしょ)」と言い、流通段階から販売にかけては「じゃがいも」と称される。こういう、販売段階と生産段階で名前が違う作物はよくあって、例えば「さくらんぼ」は生産段階では「おうとう」と言うのである。ミニ知識でした。

ちなみに
ジャガイモは泥付きで送ってもらうのが一番よい。土は作物にとっては皮膚のようなものだ。ニンジンや大根などもそう。うっすらと泥が付いた状態が一番鮮度を保てるのだが、現在はスーパー等の売り場の衛生問題上、泥は落とすのが通常になっている。でもジャガイモは、可能であればこうした、産直型で売ってくれるところで、泥付きの物をとるのがいいと思う。

理由はいくつかあるのだが、ジャガイモは通常考えられているよりもデリケートな物なのだ。例えば光に当てるのは非常によろしくない。光に当たるとすぐに緑化してしまい、食用に適さなくなる。欧米とくに北欧のスーパーでは意識が高く(ジャガイモを大好きなのだろう)ジャガイモは黒いポリ袋に入れて売っているくらいだ。だから、スーパーなどで買ったらすぐに冷蔵庫の最下段に、新聞紙などで包むようにして遮光して入れておくのがいいだろう。

さて
十勝やっちが入れてくれた品種はトヨシロ、さやか、メークインで有名どころだ。

左からトヨシロ、サヤカ、メークインである。


メークインはいうまでもない。粘質系の芋の巨人といえる品種だ。

サヤカは、肉質が極めて白く、風味も淡泊なので、マヨネーズなどの味付けをすると映える。純白な肉質から、ポテトサラダに一番使われる芋である。

トヨシロはポテトチップの原料芋として使われている。

さてこうした堀り立ての芋が手に入ったら、ぜひぜひフライドポテトにしてみるべきだ。それが一番堀立ての芋を味わえる食べ方だからだ。芋にはでん粉が含まれていて、これを暫く寝かせておくと、でん粉が糖化して甘い芋になる。

そうなると、美味しくはなるのだけど、フライドポテトには向かない。糖分が焦げやすくなるからだ。その点、堀り立ての芋はフレッシュででん粉が糖化していないので、揚げに向くのだ。

フライドポテトを家庭で美味しく作るには、とにかくどんな油でもいいが、封を切り立ての新しい油を、タップリと鍋にあけて使うことだ。ケチってはいけない。それと、二度揚げである。

皮付きのまま櫛(くし)形に切っておく。水にはさらさない。そして最初は低温(150-160度くらい)で3,4分ほど下揚げする。

一旦、網じゃくしなどで引き上げて余熱で中に火が通るようによけておく。この日は、届いた芋を3種類揚げたので、順繰りに揚げていく。

二度目は180度くらいの高温にしてからりと色づくまで揚げていく。

こうしてカラッと揚がったら、塩を振る。これだけである。自然塩系のものでもよし、ガーリックソルトでもよし、胡椒を挽いてもいい。

ホクッとした後、ジャガイモ特有の風味がブワッと拡がる。程よく脱水されているので、ネットリ感とホクホク感の双方がバランスよく味わえる。数種類の芋をフライにして食べると、その品種による違いが驚くほどよくわかる。僕はホクッとしたトヨシロが好きだが、嫁さんはメークインのフライがネットリして旨いという。さやかは、揚げると個性が少ないかな、と思う。

ちなみにフライドポテトには酢が合う。アイリッシュパブでモルトビネガーを、これでもかとぶっかけて食べるのも好きだが、飯尾醸造の富士酢(米酢)をかけるとまたたおやかに旨い。油っぽいのを解毒してくれるような感じもする。もちろん、傍らにはビールだ。先日に引き続きギネスをやると、まさに最高だ!

これからの季節、フライドポテトには最適な北海道産の品種が出回ってくる。中でもこれから掘られるホッカイコガネ、十勝コガネはフライドポテト最適品種だ。今年も十勝やっちの芋、販売してくれるようだ。心待ちにしようではないか。