牛肉の食べ比べとは、、、

2009年1月 9日 from イベント

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前のエントリに書いた牛肉の食べ比べ会は6種の牛品種の食べ比べとなるものだけど、実は昨年7月、非公開で短角牛と黒毛和牛の食べ比べ会を実施したのが元となっている。

この会は、岩手県の短角和牛振興のために実施したイベントで、レストランの料理人さんと料理雑誌の編集部さんに声掛けをして行ったものだ。

さすがに、説得力のある会にしなければと思い、きっちりと張り込んだ内容にした。

まず、肉は黒毛和牛と短角牛を比べるわけだが、黒毛もちゃんとしたものを採用しなければならない。岩手県の短角と比べるので、おなじ岩手県産のA5クラスの肉を用意した。短角は、山長ミートにお願いして出してもらったので、問答無用で二戸で肥育したもの。そしてもう一種、、、そう、岩手県が進めているプレミアム短角牛。県内で育てたデントコーンを8割食べさせた、「完全グラスフェッドに近い」短角牛だ。

そして、これを調理するのは、、、

なんと、今をときめくイタリア料理の若手肉焼きの星、「ラ・グラディスカ」の堀江シェフだ!
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実はこの人選、短角を焼いてもらったときに、「この人が焼くなら」という説得力があるシェフは誰だ!?という問いを、料理雑誌業界に顔が利く人にお願いして調査をしてみたところ、料理人さんを含め多くの人が「堀江さんがいいでしょう!」ということに。

満を持してお願いに上がったところ、

「面白そうじゃないですか。僕もよく短角使いますけど、いままでとは違う短角の肉との出会いもありそうだし、やりましょう」

と引き受けていただけたのだ!
どういう提供方法がいいか、ということをいろいろ試行錯誤していたのだが、試食段階ではこんな感じの料理もつくっていただいた。

■短角牛シンタマの岩塩包み焼き 雑穀サラダ添え
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これは堀江シェフが得意とする料理で、モモ肉を岩塩包みにして丸焼きにし、やわらかい火を通していくものだ。
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この方法だと純正赤身肉である短角の個性も出しやすいかと思ったのだけど、実は牛のモモ肉に関して言うと、ホルスタインでも黒毛でも無茶苦茶な差は出にくい、ということでボツに。けれどもこの料理、旨かった!

■短角牛すね肉のヤマブドウワイン煮込み

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これはまあ、定番中の定番といえるもの。
すね肉は基本的には使わない前提だったのだけど、堀江シェフが使うとどんな風になるだろうかということと、ヤマブドウ関係製品を使ってもらったら、ということで試作段階に材料を送って創ってもらったものだ。

もちろんこんなの不味いはずがなーい!赤ワインの酸もビシッと効いて、ホロホロ柔らかく崩れる短角の肉も、出がらしにはなっていない、まだ旨味が残る美味しいモノだった。

で、本番は結局どうなったかというと、シンプルに肉の味がわかるようにしよう、という構成になったのである。ロースの部分(というよりサーロイン)とヒレは、タリアータ。イタリア版ステーキといえばいいんだろうか。で、赤身らしさを見るためのモモ肉は、たたいてタルタルにすることとしたのである。
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当日の堀江シェフの奮闘はすごかった。助手を一人つけたけれども、とにかくもの凄い量の肉と大格闘!
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カットしているのは遠目で見てもわかる、サシが入りまくった黒毛和牛のヒレ。

「あー 切ってるだけで手がベタベタになっちゃうよ!」

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こちらは短角のモモ肉。対照的な赤身だ。
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多くの人から若手随一の肉焼キストと評される実力は、丁寧な掃除のしぶりからも伺えたのだ。
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タルタルのできあがり!
リモーネはお好みで。塩で最低限の味付けだけはしている状態で供した。
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タリアータは、堀江シェフが使い慣れないIHヒーターだった。なんと高温リミッターが着いていたようで、ガンガンに強火にするといきなりバチンとスイッチが切れてしまう。最初に焼き目をつける段階ではIHヒーターを使っていたので、シェフはかなり苦労していた、、、モウシワケナシ。
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まあ、短角二種と黒毛和牛の食べ比べの結果については、もう僕のブログ読者さんであれば予想はつくだろうから、多くは書かない。予想外だったのはプレミアム短角牛が非常に評価されたことだろう。
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お客さんとして来てくださったのは、三つ星・二つ星レストランのシェフやスーシェフ、そして今回行う雑穀やまぶどうイベントの会場になるアクアパッツァの日高シェフなど、そうそうたる面々だった。

何より驚いたのは、会が終わって挨拶をしている最中に、シェフや関係者が「すぐ取引したいんだけど」という声を上げてくれたことだ。結果的に、集まってくれた15店中、6店が取引に繋がったと聴いている。それらの店の格を考えれば、ものすごいことだ。

とこういうイベントを下地にして、さらにグレードアップしたのが31日に行われる牛肉6種食べ比べなのでありました。

では、皆様よい週末を、、、