食い倒れ日記的支援の枠組みを考えた。炊き出しシェフが継続的に被災地の人たちを暖かい食事で満たすことの、金銭面でのお手伝いをすることにした。共感していただける方、お力お貸しください。

2011年4月18日 from 日本の畜産を考える

P1000235

東日本大震災の被災地の状況は、落ち着きを得ているように報道されているけれども、まだまだ地域によって格差があるようだ。ひどいところはまだ炭水化物中心の食事しかできていなかったりする。また、物資はあれども十分に調理することができず腐っていく食材も出始めている。何より、被災者のストレスはそろそろ限界に向かいつつあり、それを支える自治体職員やボランティアのスタッフたちにも疲れが出てきている。

被災地の外にいる我々が一番、心にとめておかねばならないことがある。それは、忘れないことである。特に県の人も心配していたのが「ゴールデンウィークのマイルストーン」だ。つまり、GW明けくらいになると、報道も一段落し、被災地のことが忘れられ、他の話題が報道のメインになっていく。そして、まだまだ救済が必要なのに、「もう、支援はいいでしょ」というムードになってしまうこと。これが怖い。

東日本大震災の被災地への支援は、息長く続けていく必要がある。それがまず念頭に置くべきことだ。

ということで、この間、各所と相談してきたのだけど、僕らなりにできる支援方法を考えました。支援内容は表題にあるように、被災者への直接支援ではなく、被災者に炊き出しをしてくれる料理人さんに対するものです。

前沢のロレオール伊藤シェフや、被災の中心地まっただなかである大船渡ポルコロッソ山崎シェフは、日当もなにも出ない状況のなかで、ヘビーローテーションで炊き出し活動をしています(ちなみに、山崎さんのところは、炊き出し以外にも物資配送などまでやっているようだ)。

P1000152P1000224

この人たちは純粋に気持ちだけでがんばっているけれども、気持ちだけでは長続きはしない。店が潰れてしまう!この件について、僕が言葉を尽くすよりも、伊藤シェフと一緒に炊き出し同行したホロホロ鳥の石黒さんの言葉を、許可をいただいた上で引用する。

> やまけんさん
> 先日はありがとうございました。 なんだか、とっても考えさせられた2日間でした。
>
> 私は、「食」に関わる仕事をしているので、今の結論は下記の通り。
> ①生産者として、現地に行っても役に立たない
> ②炊き出し参加する料理人の地位向上が必要
> この2点です。
>
> ①生産者として、現地に行っても役に立たない。
> そんな時間があったら、しっかりと東北・岩手の為に経済活動をするのが一番だと感じました。
> やっぱり、人・物・お金を動かす努力をしなくてはいけません。
> これから、食産業が本格的に被災者になるんだから。
> 岩手フェアー
> 岩手ツアー
> 地産地消の推進
> 地産他消の推進
> これに、集中して取り組みます。
>
> ②料理人の地位向上
> 伊藤さん、スタッフの姿、奥田さんの姿勢 感動しました。
> でも、ずっと「ボランティア」ではいけない。
> 彼らは「プロ」です。
> 「食は命」です。
> 医者と一緒です。
> 瓦礫を片付けている業者さんと一緒です。
> もしくは、その方々以上の仕事(役目)をしていると思います。
> 料理人は、もっともっと凄い。
> 奥田さんがいつも言う。
> いい食材があるから、いい料理が出来る。
> でも、いい料理人がいるから、食材が生きる。
> 避難所に食材があっても、主婦が100人以上分の食事を毎日3食作ることは大変。
> プロが必要です。
>
> とにかく、伊藤さん山﨑さんを見殺しにしてはいけない。
> そして、各地で同じような活動をしている人達がいるに違いない。
> その人達が安心して炊き出しが出来る、仕組み(制度)が必要です。
> 石黒幸一郎

赤十字に集まっている義援金は分配までに時間がかかるという。その間にも、被災者の人たちは相当なストレスを貯めている。そこに、自腹で炊き出しに行く「マレビト」としての料理人たちの負担を少しでも軽くしたいです。

また、あの後じつは内陸の金ヶ崎町を通ったとき、金ヶ崎バーガーというご当地バーガーを開発した若手料理人さんと話す機会があった。そのとき彼が言うのだ。

「僕らもできることなら駆けつけて炊き出ししたい。けれども、僕一人でやっている店で、一日でも店を閉めて行くということは、店が潰れてしまうということにもつながってしまう。」

そう、心意気としては駆けつけたいけれども、金銭的に他を助けている状況ではない、ということで悔しい思いをしている、被災地近隣の料理人もいると言うことがわかったのだ。

「じゃあさ、もしかしてある程度の人件費負担が補助される仕組みがあったら、炊き出しに行くという選択肢もある?」

「もちろんですよ!」

そうか、それならばやっぱり仕組みを作らなければならないな。つまり、支援の対象は被災地または近隣の料理人で、炊き出しに行ってくれる人。実際に配食する数に応じて人件費や燃料代、材料費に当たる部分を金銭的支援する。

例えば週一回、200食分の食事を提供してくれるというならば、ミニマムでいえば一食あたり700円程度×200食=約15万円程度を支払うというイメージ。配食場所と内容、食数を報告してもらい、精査して支払いする。こんな感じだ。

P1000147

これを言うと、「炊き出しに金を払うなんておかしい。気持ちで行ってるんだから」という人も出てくるはずだ。また「お金が入るなら行くよ」と言う人も出てくるかもしれない。それはそれで結構。だってどんな動機であっても、被災地の負担が和らぐなら、それはそれでいいではないか。そう思うのだ。

ただし、この仕組みは、公的にはどうも作れそうにない。当初、県職員数人とディスカッションしたのだけれども、県の方でこうした窓口をしている余裕はなさそうだ。しかも県が行うとなると公平性を問われるので、結果的にうまくお金を配分できなくなる恐れもある。実際、県庁での懇談の中では難しいという認識だった。

なので、信頼していただけるのであれば、僕の会社でお金を集め、配分したいと思います。口座をどうするかはこれから考えますので数日間猶予をください。以前このブログで掲載したひろっきいの支援スキームのような形で、企業からの申し出に対して損金処理できるスキームも検討していますので、まずはメールにてご連絡いただければと思います(返信は水曜日以降になります)。

支援対象となる店舗はいまのところ、先述のポルコロッソとロレオールです。これ以外にも八戸あたりで活動している店があると聞きましたが、確認のうえ趣旨に合うようであれば順次足していき、支援者にはその活動内容(配食内容)を報告していきたいと思います。もちろん先述のような「行きたいけど営業が、、、」という料理人さんは、被災地近隣の方で僕の方からもオルグしていきたいと思うし、支援者の方で「この人にも支援を」という情報があれば是非教えて欲しいです。

ということで、途中経過報告でした!