東京駅周辺での絶品ランチ「リトル小岩井」をお教えしよう

2003年10月23日 from 首都圏

 関西の友人から、東京に出張に出てくる際に、大手町周辺で何か旨いランチが食べられるところを教えろと言われた。そんな貴重な情報、むやみには教えたくないが教えてあげよう。

 もしランチで3500円というA級グルメを堪能したいなら、東京駅八重洲口から歩いて5分たらずの料亭「日本橋ゆかり」を推したい。ここはとある料理研究家の先生から教えてもらったのだが、とにかく素晴らしい。松花堂弁当スタイルの2段のお重に、ビッシリと日本料理の粋を凝らした品々が並ぶ。ちょっと高いと思うかもしれないが、満足度で言えばここ以上のものはないだろう。

 もうちょっと手軽に洋食を楽しみたいのであれば、八重洲口から300メートルほど歩くが、丸善ビルの屋上にあるゴルフ練習所の横に、クラブハウス風のレストラン丸善がある。ここのハヤシライスはすこぶる旨い。オーソドックスで、何も奇をてらうところがないのでなんとも説明しにくいのだが、実直に旨い。ドミグラスは濃厚にして優しい。昼時に並ぶと、列にいるのがご年配の方が多いのだが、これも「優しさ」と「懐かしさ」故だろうか。

 八重洲方面から離れて大手町周辺となると、私が仕事でよくいくことが多いJAビルの地下に足を運んでみるとよいだろう。丸の内線の改札からすぐのところに食堂街があり、インド料理「ガネーシャ」がある。ランチ時には、800円くらいでカレー二種とナンとターメリックライスが付いてくる。味は超一流のインド料理店には劣るが、ライスとナンはお代わり自由で、僕はだいたいいつもライス3杯とナン2枚食べる。

 この辺が、女性にもお薦めできる名店群なのだが、、、

 僕がもっとも愛している店は他にある。その名は「リトル小岩井」。JAビルとは反対側の丸の内線の改札に近い、小さな喫茶店コーナー&サンドイッチデリである。そう、構えは実に綺麗な店なのだ。正面から見ると、テイクアウト用のサンドイッチがずらりと並び壮観にしてなかなかしゃれた雰囲気である。
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名前からしてもどうやら岩手県の小岩井牧場の関係らしく、ショーケースには小岩井牛乳が並んでいる。サンドイッチも人気が高く、昼時にはOLがテイクアウトコーナーに並ぶ姿がいつも見られる。

が、しかし。
 この店のウリはサンドイッチではない。実はこの店、スパゲッティ屋なのである。スパゲッティといっても、イタリア風アルデンテの世界では全くない。昨今絶滅したかと思われていた、あの喫茶店でよく出たスパゲッティの店なのだ!こういったスタイルの店は、実は水面下に結構ある。有楽町の「ジャポネ」はかなり有名で、僕もここのナポ(ナポリタン)は大好きだ。これらの店に共通するのは、下記だろう。

・麺は極太。おそらく2.5MMくらいの太さだろう。有名な名古屋のスパゲッティハウスヨコイの使っているボルカノ食品のスパだろうか?
・麺はあらかじめ茹で上げているもの(!)をフライパンで具と炒め、ものの数秒で仕上がって出てくる。
・メニューには必ずナポリタンとジャポネ(しょうゆベース)、インディアン(カレーね)がある。
・これらをゆめゆめ「パスタ」といってはいけない。あくまで「スパゲッティ」である。とはいうものの、リトル小岩井の看板には「パスタ&デリ」って書いてあるんだけどね(笑)

 いまどき「茹で上げ麺」である。しかも超極太。これはふやけて太くなっているわけではない。元から太いのである。その証拠に、噛むときちんと歯ごたえがある。
 さてリトル小岩井もこの流れを汲むスパゲッティ屋で、メニューには先に述べた基本3種に加え、ナスの味噌炒めと麺をからめた「辛みそ」や、とうていジェノバペーストなど使っていなさそうな「バジリコ」などがある。しかし、はじめていくならやっぱりナポ!だろう。
 昼食時にいくと、とにかく並ぶ。回転がやたら速いのでそれほどは待たないで済むが、とにかく並んでいる。その9.5割がおっさんである(写真参照のこと)。
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この地下街は昼時にはOLや会社員達でごった返すのだが、ひときわ長い列がここにはできる。そんなにも支持を受けている店なのだ。単なるB級ではないことがおわかりであろう。

 席につき「ナポ大盛り」と頼むと、コールスローの小皿が出てくる。ここのコールスローは特に旨いというわけではないが、たまに別皿でも注文してしまう。そしてだいたい3分以内でスバゲティが運ばれてくる。何度も言うがパスタではない。スパゲッティである。極太、真っ赤っかである。具はベーコンと玉葱とピーマン。これに卓上の粉チーズをブワッとかけて麺を啜る。ああ、、、これだこの味だ!学校給食でよくでてきたソフト麺並みにぶっとい麺は、程よいコシでぷつりと切れる。甘すぎないトマト味は、ケチャップではなく、特製ソースの存在をにおわせる。まあとにかく馬鹿にしないで食べてみてほしい。B級と侮れないくらいに旨いのだ。しかも、大盛り50円増しにすると僕でも確実に腹いっぱいになれる。ちなみにナポは650円である。
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もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

ひたすら麺を啜り、唇を真っ赤に染める。相席でびっしりサラリーマンが座る店内は、ただ麺を口にいれもぐもぐもぐもぐと食べる人たちで一杯なんである。このB級さ加減、とっても大好きである。もしうちの会社が大手町にあったら、確実に僕は週に3日はここで食べているだろう。

 ちなみにここのサンドイッチもなかなかイケル。旨いのはコンビーフをキャベツのみじん切りとマヨネーズと和えてイギリスパンに挟んだコンビーフサンド(180円)と、コロッケロール(210円)である。ハムエッグサンドはボソボソしていて旨くないので要注意だ。

 どうだろう?参考になっただろうか?東京駅周辺はなかなかのワンダーランドなのである。