ハンバーガー二景

2005年8月25日 from 首都圏

アメリカの料理の水準が上がってきているという記事をよく見かけるようになったけど、どうなったとしてもアメリカで一番旨いのはハンバーガーではないだろうか。日本とはちがって赤身中心の肉を叩いただけの分厚いパテ、しっかりとしたバンズさえ旨ければ基本的には満たされるわけだが、これに際限なくトッピングや追加ソースなどでびたびたにしていくのが、複雑で濃い味好きの僕には堪らないのである。

日本で旨いハンバーガーを食べようと思ったら余程の店に行かなければならないのが残念だ。ファーストフードは論外なので入らないことにしているけれども、たまにはどうしても食べたくなる。

先日、無二路のシェフである重ちゃんと「飯に行こうよ」ということになって、重がお勧めの満腹ステーキ屋に行ったら、まさかのお休み!ステーキ腹だから肉を食べないと納まらない!ということで、焼き肉屋に移動する。その途中で本郷を寄る関係上、「そうだあそこに行こう」と、ハンバーガーのファイヤーハウスの前に路駐したのであった。

■ファイヤーハウス
東京都文京区本郷4-5-10
03-3815-6044

有名店だから知っている人も多いだろう。僕が6年前、野村総研に務めていた時、お茶の水オフィスから徒歩7分のところにあったので、よく食べに行っていたのだ。

ひっさしぶりにアボガドバーガーのマヨネーズ大盛りで頼む。

ここのパテはなかなかに旨い。バンズがすこしフンワリ気味なのが残念なのだが、出入りのパン業者さんの軽バンには「天然酵母のパン」と書かれていたので、こだわったパンのようである。

僕は柔らかいパンがあまり好きではない。ことハンバーガーに関しては、強めの食感のパテに、少し全粒粉を混ぜた硬めのバンズが合うと思っている。その観点からするとこの店のバンズはちょっと違うのだが、ハンバーガーの総合得点としてはかなりいい方である。

もちろんこの日は、ハンバーガーを食べた直後に、お好み焼き&焼き肉をさんざん食いまくったのである。重ちゃんは

「もうくえねーよ」

とばて気味であった。

さて後日、結婚披露パーティに来てくれた大学の友人マリコからもらったフォーシーズンズホテルのレストラン券を使おうと、目白から同ホテルへ。

■フォーシーズンズホテル シーズンズ・ビストロ
http://www.fourseasons.com/jp/tokyo/summary/dining_158.html

シーズン・ビストロという同ホテルの洋食系ダイニングに入ってメニューをみると、VIPバーガーというのがある。コレが凄まじくて、ハンバーガーにフォアグラのソテーが挟まれているということだ。それで3800円。

「自分の金だとぜったいに食べなさそうだな、よし!」

と、ステーキランチに加えてこのハンバーガーを頼むことにした。ちなみにランチが3500円だから、ランチコースより高いハンバーガーである。それに加えて、「ブルーチーズをトッピングして!」と頼んだので、4500円くらいになっているはずだ。僕の人生史上最も高いハンバーガーである。

そしてその高級ハンバーガーは、期待を大きく上回るパフォーマンスを発揮したのである!

ガラにもなく引いて撮影しているので大きさがわからないだろうが、かなり分厚いプレゼンテーション!高さがあると考えてよい!その頂点には、溶けたブルーチーズの上にテリテリと艶々に輝くフォアグラソテーが鎮座しているのだ!

「おおおおおおおおっ  発狂しそうだっ!!!!」

と、直ちにバンズをしっかりと掴んで縦に圧縮し、がぶりつく!

とたんに口の両脇にソースとトマトの汁、チーズ、マヨネーズ、肉汁が溢れてくる!口の周りを脂まみれにしながら、思わず会心の笑みを浮かべてしまった!

「旨いっ! これはかなり俺の好みに近いよっ!」

そう、このバーガー、まずパテが素晴らしい。ホテルも一流になると、肉を引き受ける専門のブッチャーが居て、冷蔵庫できっちりと旨味が出てくるまで熟成をかけるのだ。このバーガーの肉も、熟成が進んでいないと出ない、ミルキーな芳香を放っていた。

そしてなにより、バンズが素晴らしい!
みっしりと粉の詰まった、硬めのバンズだ。どんな強いパテ、ソースにも負けない骨太感がある。いや、ホントに素晴らしいね。

口の周りをべとべとにしながら食べ尽くし、しばし放心。嫁さんも大満足。値段なりの満足感があった。ちなみにフォアグラはバンズの個性を超えず、全体の魅力アップには繋がっていないような気がする。これなら、VIPバーガーではなく、フォアグラを抜いた通常のバーガーを頼む方が、ストレートにパテの旨さを楽しめそうだ。

次回は必ずそうしよう、と思った。ホテルのダイニングも、やるなぁ。