新潟市にはタレカツ丼がある! とんかつ太郎で甘辛タレカツ丼を喰らう!

2006年6月28日 from 出張


先日からどうも新潟づいている。週刊アスキーの連載で長岡・上越に行ったと思ったら今週は新潟市だ。新潟は都に近い方から上越・中越・下越と並んでいるが、ここ数週で全部を回ることができたことになる。新潟県の印象としては、とにかく道がゆったり広い。そして駅舎などの建物が異様に豪華。そして美人度が高いというのは書いたとおりだ。

さて
青果物流通業者の会議で、新しい卸売市場施設の視察等を行って宿泊。本日朝飯食べて会議をやって、昼食を食べた後、皆さんとお別れしてから市内に向かう。新潟に来たら、なんといってもタレカツ丼を食わずには帰れないではないか。

タレカツ丼というのは我々新潟市以外に住んでいるものの言葉であり、新潟市民にとってみればそれこそが「普通のカツ丼」らしい。見た目はソースカツ丼だが、カツをさっとくぐらせるのは醤油ベースの甘辛いタレなのだ。今回のホスト役を務めていただいた新潟の青果物流通の有名人・堅田さんに良い店を教えてもらう。

「そりゃぁね、有名なのは『とんかつ太郎』だよ。これから送っていってあげるよ!でもさ、昼飯食べたばっかりじゃないかぁ」

と言われながらも、店の前まで送り届けてくれた。

思ったより小さな、町の洋食屋という風情だ。中を覗いてみるとテーブル席はなく、すべてカウンター。食べるということに特化された店構えなのである。

■とんかつ太郎
新潟市古町通り6-973
025-222-0097 


「いらっしゃいませー!」

と通されメニューを観る。

これだ、見た目は、福井県の名店・ヨーロッパ軒のソースカツ丼に似ているものの、このタレは甘辛ダレなのである。

メニューには普通のカツ丼、ひれカツ丼、そしてカツの枚数が7枚入ってご飯も大盛りという特製カツ丼がある。ここは豪華に特製をやりたいところだが、昼飯後なのでぐっと我慢。ただでさえ最近運動不足でやばいので、普通盛りで我慢してみた。ちゃんとオーダーしてから揚げてくれるようで、5分ばかり待っていると、茶色く香ばしく盛り上がった物体が運ばれてきた!

「おまちどおさまでした!」


おおおおおおおおおおおおっと
これがタレカツ丼!
カリッと感のある素晴らしいプレゼンテーションである。
もちろん肉の下にキャベツは敷いていない、潔いカツ直載せタイプの男らしいハードボイルドカツ丼なのである。

早速カツをがぶりとやってみる。

旨い!

見るからにきめの細かいパン粉が存外にしっかり肉に張り付いている。そのきめ細かなパン粉部分に甘辛い醤油ダレが浸透していて、なんというんだろう、せんべいの揚げもちのような食感が一瞬する。しかしその中身はギュシっと密度の濃い豚肉なのである。脂身があまりないこの部位はロースではないだろう、でもヒレ肉ほどにバサッとしていない。

「あ、これはもも肉なんですよ!」

ほぉー モモか!
なるほど、醤油ダレであっさり食べるためにはもも肉、しかし脂があまり無い部分だから、厚い切り身だとばさばさしてしまう。だから薄目のカット。しかもその方が客の顔を見てから揚げてもすぐに仕上がるという寸法だろう。

一方、カツをのけると顔を出すご飯にもほどよく醤油ダレがからまっている。厨房をみていると、揚げ鍋の横にホーローの深鍋があり、そこに醤油ダレが入っているようだ。揚げ揚がったカツをそこに投入し、ご飯の上に載せる前にタレをまんべんなくふりかけている。そして一枚一枚のカツをタレ切りして載せているのだ。揚げはお父さんが担当、若い女性がタレかけを担当。

「おこのみで芥子をつけてもおいしいですよ!」

と若い女性が教えてくれる。つけてみると、甘辛ダレがツンとした辛味と酸味で引き締まって、これまた旨い!

いやこれなら特製カツ丼にしておけばよかった!全然楽勝で食べられてしまう。
卵とじカツ丼に使用するロースカツよりもあっさりしたもも肉で、しかも薄目のカット。さっぱり醤油ベースの甘辛ダレということで、おやつ感覚で食べられてしまうのである。これはオツなものだ。

面白いのは、他に食べているお客さんの層が、けっこうご年配の人も多いということだ。僕が入店する前から隣にいるおじいさんはどうみても70歳以上にみえる。このおじいちゃんがゆっくりと、しかし着実に、いとおしむようにカツ丼を噛みしめていらっしゃった。このカツ丼、昔からこの味なのかを尋ねてみると、

「ここへは30年ぶりにきた」

とおっしゃる!

30年前、船の仕事をしていたが、先輩がいいもの食わせてやると連れてきてきてくれた。最近、新潟市内の眼科に通うことになったのできてみたけれども、やっぱり美味しいよなぁ、、、

あんまり佳い笑顔で食べておられるので、写真を撮らせていただいた。

撮影後に「ニカッ」と笑ったその顔を撮りたかった。しかし、この証言ですくなくとも30年以上この味が守られていることがわかった。素晴らしい、、、
もっとも、ある人には「豚肉の味が落ちたなぁ、でもそれは世の中全部でそうだからしょうがないか」と言っておられたのだが、、、

この店、折り詰めを買うことができる。嫁さん用にご飯の載っていない、カツだけを一人前買って帰ることにした。

今度、家でもこのタレカツ丼をやってみようと思う。こいつぁ旨い。
実はこのエントリ、新幹線の中で書いている。熊谷駅の手前で信号故障でしばし停車というのだ。
ちょうどよかった、久しぶりにリアルタイムに近いアップができたのである。

明日は、山崎蒸溜所にウイスキーを飲みに行ってくる。もちろん、仕事です。