大阪府八尾市の超絶品枝豆に唸っちゃうよ!

2006年7月17日 from 食材


水茄子と共に、福村さんが「これは旨い枝豆でっせー」と送ってくれたのが、大阪府八尾市の枝豆だ。八尾市といえば関西における枝豆の大産地である。

ちなみにご存じだろうか、枝豆は卸売市場の中でも特別な存在感のある作物なのだ。

卸売市場という場所は、「セリ」によって野菜や果物を売買するところ、と社会科の教科書には書いてあると思う。しかし今日、多くの卸売市場でセリの開催が減少している。商品が産地から届く前の段階で、スーパーなどの大口顧客が「どれそれを何ケース」というように予約的に買い注文を入れている(先取りという)ため、売手と買手が対面しながら値を競りあう「セリ」は形骸化しているのが実情なのだ。

しかしながら、必ずセリが行われる品目も存在している。
事前に数量などを決める先取りが成立するためには、ある程度品質にばらつきがないモノである必要がある。しかし、比較的高額で、品質に生産者による差があるなどの場合には、面倒でも現物を見ながらセリを行う必要があるのだ。その代表格はメロン。もちろん、マスクメロンとよばれるアールスメロンだが、これはセリで生産者番号によって値が大きく変動する。

そして、枝豆もそうなのだ。むろん、スーパーで一袋300円程度で売られているものではない。枝付きで入荷する、市場の近郊産地の朝獲りの枝豆は、生産者番号によってセリにかけられる市場が多いのだ。もちろんそれは料亭等の高級な需要対応なのだけど、、、

枝豆ほど、味に差が出やすい作物も珍しい。旨い枝豆とまずい枝豆では歴然と差が出てしまう。
実は数日前、スーパーの店頭で4つの産地の枝豆が並んでいた。一番高いのを買い求め、さっそく茹でて食べたが、、、信じられないほどに味がなかった。豆自体の生産方法か、流通段階の温度管理の問題か、、、

枝豆の場合、栽培段階で美味しいものができるか否かというのを左右するのは、土質である。豆科の植物は、根に根粒菌というのが付いていて、これが空気中の窒素を固定して、自分で肥料を生成してくれる。従って肥料をあまりやらなくても育つ。だから肥料の投入量はあまり多くないので、土質の善し悪しが第一条件だ。

次に鮮度が命である。どんなによい土地で生産された枝豆でも、数日後に食べたのではまったく味が落ちてしまう。食べるタイミングは早ければ早いほどいい。言い換えれば、遠い名産地から数日経って到着したものより、無名の近隣産地の朝獲れの枝豆の方が美味しいことが多々あるということだ。

さて
枝豆を美味しく茹でるのはなかなかに手間が要る。重要なのは火の通し加減と塩味の加減だ。適度に塩味の染みこんだ枝豆にしないと美味しくない。

時間があれば、まずボウルに枝豆を入れて粗塩を振り、水を少しかけてザクザク揉む。産毛をとって食べやすくするためだ。産毛を水で流したら、豆の鞘(さや)の両端を少し切る。大量に茹でたい時は気が狂いそうになるが、そうすると塩が滲みて良い塩梅になりやすい。切る時間がない場合は、やや濃いめの塩を湯にいれて茹でる。

ゆで加減は、こればかりはつまみ食いしながら適切なタイミングを計るしかない。ただし若干「まだ堅いかな」と思うくらいで火を止めた方が佳い。なぜなら、この後、水にとったりしてはいけないからだ。よく茹でた枝豆を冷水にとって急冷するのをみかけるが、旨みが逃れてしまう。ざるで湯を切ったら、広い皿にとってうちわで扇ぐなどして、あら熱をとろう。だから、少し堅めにゆであげておくのだ。

あと、一粒食べてみて、塩加減が足りないようなら塩を振ってしばらく置く。しばらく置くと、浸透圧で豆にも塩が滲みて佳いあんばいになる。

こうして丁寧に茹でた枝豆はプリンとしてまっこと旨い!
佳い枝豆は、香りと味が濃い。佳くできた豆は旨み成分をたっぷりと含んでいるのだ。ビールが無くても、皿一杯に盛った枝豆が無くなるまで食べてしまう。

さて最後に皆さん、枝豆がなんの豆だか知っているだろうか?
いまだに、「えーウソでしょ?」と言われることが多いのだが、、、

枝豆は、大豆の未成熟な実です。
枝豆を放っておくと、秋頃に立派な大豆になるのです。
生育途上の豆を味わうなんて、贅沢なことだ、、、

ぜひスーパーや八百屋で、色んな産地の枝豆を食べ比べてみて頂きたい。きっと大きな差が見つかると思う。