宮崎県の郷土料理を見直す時期が来た! 地鶏やマンゴーだけが宮崎料理じゃないョ。美味しい郷土文化を総ざらえする旅!

2012年8月16日 from 出張

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今年度、宮崎の郷土料理文化の現在を見直すという事業を行っている。昨年までは県の仕事だったが、今年度からは宮崎市の事業となっている。「宮崎市」というとどれくらいの範囲なのかあまりわからないだろうけれども、ご多分に漏れず町村合併によってマンモス都市になっている。

いや、都市部ももちろんあるけれども、宮崎市内には海も山も川もある。そうとうに楽しめる面積になってきているのだ。だから、「宮崎市の郷土料理文化」といっても、かなり広範囲に渡るお話になるのだ。

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「生活改善」という言葉がある。その昔まだまだ農村地域と都市部の格差が大きかった頃に、農村部においても暮らしやすいように変えていこうという動きがあった。いまの都市生活者には想像もつかないだろうが、たとえば「麹を使った美味しい味噌を造りましょう」→それ以前は豆味噌が主流
「かまどではなく、ガス台や電気炊飯器に変えましょう」「 薪ストーブではなく灯油ストーブに」というようなことまでが生活改善指導の内容に入っていたと、東北の山村部で生活改善指導にあたっていた方にきいたことがある。


生活改善は県職員である農業改良普及所の女性職員が担当することが多かったようだ。僕の仕事でよく出会う方々だ。どこの地域でも「生活改善の先生」といえば、その地域の農家の婦人グループをまとめ、慕われる人であったようだ(そうでない人もいただろうけど)。


上の写真はそんな、宮崎の農村地域の婦人グループがまとめた、郷土料理のレシピ集。ずいぶんと古い資料をみることができた。なぜそれが叶ったかというと、僕のコンサル先の顧問のお母様が、この生活改善のリーダーだったということなのだ!


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「いや、うちのオフクロは本当に郷土料理のレシピをたくさんもっててね。僕も小さい頃から宮崎の料理をいろいろと作ってましたよ。いまでは妹が母の味を継いでますね」


その資料を見ると、ああなるほどなとうなずく内容ばかりだ。


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宮崎で一番よく食べられている漬け物、、、は、まちがいなくたくわんだった。と過去形で書いておく。そのたくわんも時代と共に、調味液にザブンとつけ込むものばかりになってきているわけだが、昭和の頃はこんなまじめな作り方をしていた。やっぱり柿の皮となすの葉で風味をつけるのだな。


そして宮崎らしいのが、千切大根、つまり切り干し大根のレシピがたくさんあることだ。


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「まだか漬け」とは、漬け込んでまだ出来上がってないうちから「まだか、まだか」と楽しみにする味だったからだそうだ。


それと僕はこの摘果メロンの漬け物に興味津々。


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メロンの樹には次々と実が着果するが、糖度の高い大きな玉をとるには摘果(てっか)しなければならない。摘果した未熟メロンはウリとして美味しく食べられる。その漬け物だ。


「そんでねやまけんさん、ガネって識ってる?」


ああ、ガネ! 宮崎県の中でも都城の側(?)で愛されている、サツマイモとニンジンを粗く刻んだものを衣をつけて揚げた料理だ。


「あれをうちでもよくやってたんだけど、うちのはちょっと違うんだよ」


ということで、顧問おんみずから(妹さんが作ったらしいが)ご持参いただいた!


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ええええええっ?  これがガネ!?


実はガネという料理はもっと衣が薄くて、具の芋とにんじんが長い状態で、まるでカニをゆで上げたかのような見た目に揚げるのがよくあるパターン。カニに似てるから「ガネ」というくらいで、そういう形状になるのが普通のはずだ。しかし、顧問が持ってきてくれたのは、かき揚げ様の衣が分厚いもの。


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その中に小さく刻んだ芋やニンジンがみっしりと詰まっている。揚げドーナツのような感じだ。


「うちではこれはおやつだったからねぇ。揚げたてはもっとしゃっきりしてるんだけど、まあ食べて見て」


いただいてみると、、、おおおっ 実に美味しい! 芋とニンジンを衣で揚げたといえば、わりと素っ気ない味わいの天ぷらの味を予想するだろう。けれども、衣にしっかりと甘みと塩味がついていて、それだけで何もつけずに美味しく食べられる。そこに、ニンジンの香りとサツマイモの甘さ、でん粉質が合わさると、意外や意外、これだけでわしわしと食べられる美味しさなのだ!


「美味しいです!」


「うん、これはまあ標準的なガネとは違うんだけどね、我が家ではこれだった」


こちらはかごしまでもよく食べるかるかん。


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あん入りとあん無しバージョン共にあり。


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こちらも宮崎県人が初夏に楽しみにしている「だいみょう竹」のタケノコ。


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醤油でもいいけれども、酢味噌で食べるのが乙。


さてその次に伺った際、みなさんが用意してくれていたのが、さきの摘果メロンの漬け物、そして「あくまき」!


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摘果メロンの漬け物、これは浅漬けだったけれども、メロンの風味がなんともいえず塩味と合ってとても美味しい。


そして、関東の人間にはおそらく理解不能な食べ物であろう、「あくまき」。


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餅米を竹皮に包んでちまき状にしたものを、なんと草木灰を溶かした灰汁(アク)につけ込み、煮たものだ。アクはアルカリ性だから、保存食となる。ちまき状のあくまきをぶつ切りにして、きな粉と砂糖をまぶして食べるのが一般的だが、宮崎市内のすばらしい料理処「たけ」のように、これを揚げ出しにしてしょっぱく食べるのも美味しい。


それにしても、強いアルカリの液体でちまきを煮るって発想はいったい誰が絞り出したのか。プウンと香るのは温泉の匂い。けれどもこれが慣れると美味しいのだ。


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しかも、このあくまきにまつわる話がおもしろい。というのは、「アク」作りに使う草木灰によって味が変わるのだそうだ。


「うちはもう、樫の木だよ」「私の地域では柑橘類の枝を燃やした灰が一番旨い、とされてます」「松の木はいかんねぇ、香りが悪い」などなど、地域によって言うことが変わる!こんど、灰の種類別のあくまき食べ比べをやってみたいものだ(笑)


郷土料理は本当に深い。宮崎市内にはまだまだこうした郷土料理が生きている。それを掘り起こして、外から来た人たちもそれを味わえるようにしようというのが、僕が今取り組んでいる事業の方向性だ。


さて、いまから宮崎へ飛びます。今回は何に出会えるかな〜