史上初!? 宮崎市田野町の大根やぐらの下で大宴会! 干し大根料理を食べながら焼酎を飲む。数万本の大根が干し並ぶこの風景は後世に残すべき文化的景観であり、佳い食の源であると実感した!(写真圧倒的に多数!) 前編

2016年2月 4日 from 出張,食材

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宮崎市田野町の大根やぐらの圧倒的な光景をここ数年追っている。いつか大根やぐらの写真だけで写真展をしたいと思っているのだ。その撮影に行った際、関係者のみなさんと「このやぐらの下で酒を呑みたいですねぇ」とよく話していた。というのも、キーパーソンである田野町出身の松山さんが魅力的なことを言っていたのだ。

「夜、このやぐらの下で、大根が凍らないようにストープに火を入れるんですよ。それを山の上から眺めると、オレンジ色の光が漏れたやぐらがボウッと浮かび上がるんです」

その光景、みてみたい、、、そして、そのやぐらの下で、ストーブを囲みながら酒を呑みたい、、、そうみんなで言い合っていたのだ。なんとそれがこのたび実現することとなった!おそらく誰もやったことがない、大根やぐら宴会!のはじまりである。

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宮崎県宮崎市の田野町は、漬物用干し大根の生産量・堂々の日本一を誇る産地だ。12月から1月にかけてこの地域を車で走ると街道沿いに、6メートルもの高さ×150メートルもの長さの大きなやぐらが建ち並ぶ(もちろん畑のサイズによって高さ長さは変わる)。

街道からみえるものだけではなく、奥に分け入っていけば、行くほどやぐらが立ち並ぶ。

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なんとその数、およそ250基!(田野総合支所が歩いて確認してくれた数字だ!)

初めてみたときは本当にすごい風景だと思った。こういう風景を作ろうと思ってもとてもできない、大根を栽培し、それを干して出荷するという営為が成り立ってこそ、この風景ができるのだ。そういう意味ではこの田野町という地域性が実に干し大根にとって理想郷であることが効いている。

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田野町のシンボル的存在が鰐塚山(わにつかやま)だ。ここから吹き下ろす風を「鰐塚おろし」と称するくらいで、この風の存在こそが田野町を干し大根日本一にしているといってもよい。

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大根は陽に当たって干されるのが大事だが、それにプラスして水分の蒸散を促す適度な風が吹くことも重要なのだ。

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その役割を鰐塚おろしが担っているといえる。

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昼間のやぐら周辺は陽があたってぽかぽかと暖かいが、夕方から朝にかけては、風も吹き、やばいくらいの寒さになる。

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しかし、やぐらの中は滅多に氷点下に下がることがない。凍ってしまうと細胞が破断し物理性が悪くなり、商品価値が下がってしまう。だからこの気候はほんとうに干し大根にとって理想的なのだ。またどうしても凍りそうな時には、やぐらの下で上の写真のようにストーブを焚く。これによって大根はゆっくりと水分を抜き、味と香りを凝縮させていく。

朝、まだ陽が昇らない4時頃から田野町に行き、ぶるぶる震えながら夜明けを待ってやぐらを撮ろうとした。しかし一つ誤算があったのだ。それは、夜明けまではブルーシートをかぶってしまっているということ。

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夜露も寒気もあるし、夜の間開放していくことはあまりメリットが無いということだろう。このブルーシート、むかしは人がシートの端っこをもってえっちらおっちらと上がり、結んでいたそうだ。しかし、いまでは頭のいい人が仕組みを開発し、滑車を使ってブルーシートを着けて横に渡したた棒をロープで上げ下ろしできるようになっている。

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このように全面にかけられているのを、、、

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ロープを緩めることでこんなふうにおろしていき、、、

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陽に当てるのだ!

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反対側も外して、できあがり。この仕組みのため、やぐらには他より高く伸ばしている棒があるのだ。

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つくづく人の工夫ってすごいな、と感じる瞬間だ。

下の写真をみると、漬物用の大根はいっぱんてきな青首大根とはちがう。白首大根といって、上部まで真っ白な品種だ。しかもその形状をみると、長く細いことがわかるだろう。

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長く細いと、干したときに速やかに均一に水分が抜ける。だから「理想形大根」と呼ばれる。

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ちなみにこの地域ではタキイ種苗の「干し理想」という品種がずっと植えられている。今回の大宴会の企画者の松山さんは、じつはこの「干し理想」大根の育種・選抜に関わった方だったりする!

通常、やぐらは大根が植えられた畑の横に立っている。そこに、引き抜いた大根をかけていくわけだが、畑からすぐかけるわけじゃない。

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このままだとやぐらに渡した横棒にひっかからないからだ。いったん収獲した大根を軽トラで作業場に運び、葉の部分を二本一組でゆわえる。

それをトラックに積載して、やぐらの中にトラックごと格納する。

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そうしたら、やぐらに昇る人、トラックから大根を棒を使ってヒョイと渡す人の分業が始まる。

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下に居る人は、登っている人の手が空いた時にタイミングよく大根を渡せるように心を砕く。

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上に上っている人達も、ひょいひょいとやってはいるけれども、足を滑らせたら大変な、危険と隣り合わせの作業だ。

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こうして、びっしりと大根がやぐらにかけられていく。

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日本人の几帳面さが、この美しい配列を産み出している!

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こうして10日~2週間ほどで大根がしなしなに干しあがる。

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干し上がったらまた軽トラで収獲だ。葉の部分を切ったのをボンボンとトラックの荷台に投げ込んでいた。

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それにしてもこの大根やぐらの美しさといったらない。他に存在しないすごい風景だ!

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さあ、このやぐらの中でストーブを焚いて、酒盛りをする。そんなことできるの? 激烈に寒いよ!?

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「やまけんさん、実はこの地域でもそんなこと初めてなんですが、、、みんなを集めて宴会をやろうと言うことになったんですよ!」

そう、僕の知らぬ間に、こんな企画が持ち上がっていたのだ、、、

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顔入りだし、、、(笑)

(続く)