エモンの石塚さんが輸入しサカエヤの新保さんがねかせたバザス牛の50日+α熟成の肉を食べ比べる会inカルネヤ神楽坂店!

2016年9月26日 from ドライエージングビーフ,首都圏

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日本で肉になる牛といえば、黒毛をはじめとする和牛4品種に加えてホルスタインとF1、それ以外のレアな乳用種と肉用種が5種程度で、多くても12種類くらいだろう(それぞれのF1はこの際除外)。けれども、そのうちスーパー店等に出回るのは数種に過ぎないので、日本人の多くが非常に限定された牛の肉しか食べていない。

でも世界にはそんなもんじゃない、200種を超える牛の品種がある。とくに食肉文化が長く深いヨーロッパには、在来品種がわんさか存在している。以前、トップトレーディングさんに手引きしてもらってフランスに行った際、土佐あかうしに似たパルトネーゼ種にであったが、その時に在来種マップをみせてもらい、その豊かさにクラッときた。

で、そのフランスで黒毛和牛的な位置づけにある(つまり多数生産されている)のがシャロレー牛なのだが、それは美味しさもあるけれども、それ以上に生産性が高いことが理由とも言われている。フランスで好まれるモモ肉がすんごく大きい牛が輩出されるのだ。まじかでみて、そのたっぷりした臀部に驚いてしまった。

一方、生産性はそれほどでもないが、美味しいということで飼われてきた牛もいる。バザス牛もそのひとつだそうだ。写真を見ると褐毛和種の熊本系に似た感じだ。そのバザス牛を輸入商社のエモントレーディングさんが輸入し、サカエヤの新保さんが熟成テストをしていることは聞いていた。

「熟成期間ごとに食べる会をしてきたんですが、50日目となる日に東京でやるので、ぜひ食べに来ませんか」

と言っていただいたので、もちろんとはせ参じたのである。

カルネヤ一号店は久しぶりだが、相変わらず予約の取りにくい状況が続いているらしい。

 

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サカエヤの新保さんと京都「南山」の楠本姉妹、そして北海道からは北村貴さん。そして、エモンの石塚さん!

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元気いっぱい、そしてお若い、、、 肉焼きはもちろん、この方。サノマンズのほうを抜けて焼きに来てくれました。

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さて本日のお肉。

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手前がドライエージング、奥が吊し熟成。

サカエヤさんによれば 「50日はギリギリの限界だと思います。いまのレギュレーションでは30ヶ月齢以下の牛しか輸入できないので、肉が保たないんですよね、、、」とのこと。

そう、フランスで好まれるのは経産牛で、4~5産したメス牛を再肥育して肉にしたものを熟成にかけたのが美味しいと言われるお国柄だ。向こうで食べ比べをしたが、うま味や香りの面でぶっちぎりに経産牛のほうが美味しかった。そして、長く生きた牛の方が長い熟成に耐えられる。これまた真実なのだ。

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しかし残念ながらまだ日本では30ヶ月齢以上の牛の輸入をフランスからはできない。日本の肉牛は30ヶ月齢以下で流通するのが普通だからそれでいいとなるが、本当に美味しさを追求するならもう少し基準を緩くしないと難しいのだ。

とはいえ、できる範囲で熟成をテストした結果の、最終段階である。これは貴重な機会!

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もうひとつ、こちらはいわゆるトマホークと呼ばれる部位と、ロース芯を切り出して赤ワインに漬け込んでおいた部位(手前)だ。高山君が「ちょっと閃きまして、、、こうした技術がはまるかなと思ったんです」とのこと。

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肉談義をしつつ前菜。

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愛農ポークのウイスキーソース、最高に美味しい!

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その間、厨房では肉への火入れが。トマホークは炭火でガンガンと。

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肉焼きにもいろいろあるが、高山君は「余熱でじんわりと火を入れていく」ことをあまりしない。もっと攻撃的に焼いていく。彼の肉焼きセミナーを企画するとあっという間に席が埋まるが、それだけ料理人からも一目置かれているのだ。

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先ほどの赤ワイン漬け込み肉は、フライパンでたっぷりのバターを使ってアロゼしながら焼く。

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この辺の緩急の付け方が見事である。

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さあ、焼けましたー。

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これだけの肉塊を焼くのは至難の技。素晴らしい手際です。

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手前がドライエージング、奥が吊し。

さて感想ですが、ドライエージングはほんの少し水分抜けが気になるくらいで、熟成によるうま味と香りの発生は非常によかったと思います。おそらく十日前つまり40日の段階でほぼOKなんじゃないかと。肉は予想していたとおりうま味もあり香りも強く、美味しい。繊維はそれほど細かい感じはしないが、食感も熟成のおかげか滑らか。

ただし吊しの方は50日だとちょっといっちゃっていましたね。そのことは新保さんももちろんご承知。今回はこの肉がどこまで熟成に耐えられるかの試験だったわけで、ひとつの答えが出たと言うこと。貴重な経験をさせていただきました。

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トマホークの肉、実に美味しい。個人的にはこれがベスト。

そして、ロース芯を赤ワイン漬けしたのはこんな感じで仕上げ。

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この一皿にエモンの石塚さん、新保さんは感動しておられた。なんともフレンチのエスプリ満載な一皿。イタリアン出身の高山君だけど、本当にオールマイティだ。

「この肉にはバターでアロゼして、ソースといっしょにいただくのが合うのよ!」

という石塚さん、嬉しそうだった。本当にそうで、フランスの肉はサシが一片も入らないのがよい肉とされる。そうした肉を塩胡椒だけで食べると飽きてしまうのだ。バターの香りとソースをまとってこそ、完成形と言えるのかもしれない。

仕上げのパスタ。

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でも残念ながら仕上がらなくてもう一皿追加(笑)

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カチョエペペ旨し!

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競馬雑誌にその半世紀が掲載された高山君をみんなでお祝い(笑)

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いや、いい会でしたね! 本当に勉強になりました。そして、試験期間を終えて、本格的に動くかも知れないバザス牛。愉しみにしてます!

石塚さん、新保さん、ありがとうございました!